14・ふりかかる火の粉を防ぐために

タタオが中3の夏休み。
夜ごと、中学校の裏門付近で、タタオたち不良が男子会に励んでいた。
当然、ゴミも散らかす。片付けろと言っても、みんなの手前というものがある。不良が「ゴミ拾おうぜ」というわけにもいくまい。
 
私は毎朝5時起きで、イヌの散歩のふりをして、タタオたちの散らかしたゴミを拾いに行った。
別にタタオのためにやったのではない。
自分のためにやったのだ。
ゴミで苦情が来て、またトラブルになってはかなわん。
また学校に呼び出されてはかなわん。人からうわさされてもかなわん。
 
「最近、裏門のところに不良が溜まってるらしいわよ」
「朝になると、ゴミいっぱい散らかってるんだって」
「いや~ねぇ」
「○○さんちのタタオくんもいるらしいわよ」
 
なんてうわさになったらたまらん。
せめてこれ以上 こっちに火の粉がふりかかるのを防がねば!
 
ゴミが散らかってなければ、それほど問題にならんだろうと、ゴミ拾いを始めたのだ。恥ずかしいから犬の散歩のふりをして、人に見つからないようにそそくさと拾う。
夏休みだけだったからまだよかったけど。

この話には続きがある。それは後に。
 

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