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フリースペースSORAってどんなところ? ~不登校の子ども達の「居場所づくり」(上)~

「今月はどんなことする?」
 集まった子ども達はそれぞれ自分のしたいことをアピール。意見が出尽くすと、今度はそれが可能かどうか、どんなふうにやるか、等の話し合いに入ります。もちろん、積極的に会話に加わる子もいれば、そうでない子も。しかし、控えめな子にも必ず意見を聞く姿勢は徹底しています。それは、とてもやさしい光景だといつも思います。フリースペースSORAの日常のひとコマです。

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 フリースペースSORAは、不登校の子ども達が通ってきて安心して過ごせる「居場所」として、今年4月に開設されました。山形市東山形にある一軒の借家がそのスペースです。民間の通所型フリースクールとしては、県内で初めての試みです。
 その基本理念は「学校に行く生き方もあるし、学校に行かない生き方もある。いろんな生き方を認めていこう」というもの。SORAという名前も実はここから来ています。いろんな空模様があるように、子ども達の個性や生き方にもいろんな色があっていい、それを認め受けいれていきたい。そういう意味が込められているのです。
 もともとSORA開設を準備したのは、不登校親の会山形県ネットワーク(代表・白幡康則)。親同士の交流と「不登校」の啓蒙活動が活動の中心でしたが、その中で、子ども達の「居場所」の必要性が実感され、家でも学校でもない第三の居場所としてのフリースクール開設が構想されたのです。
 さまざまな準備を経て、今年の2~3月に試験的に開設すると、11歳から21歳までの10名以上の子ども達が集まりました。その結果を受けて4月以降の常時開設が決まり、SORA運営委員会が組織されました。この委員会が議決機関となってフリースペースSORAは運営されています。

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 SORAは通常、平日10時から16時まで開いており、スタッフ数名が常に待機しています。現在は15歳から18歳までの4人の子ども達が来ていますが、特に年齢制限は設けていません。本人に通いたいという気持ちがあれば、どんな年代でも受け入れたいと思っています。
 子ども達はそれぞれ好きな日の好きな時間に通ってきます。ほぼ毎日来る子もいれば、週に1~2日という子も、月に1日程度という子も。だから、みんなが集まってにぎやかになる日もあれば、ほとんど人がいなくて静かな日もあります。まさに、いろんなSORA模様があるわけです。
 共通の時間割といったものはなく、ここでどんなふうに過ごすかは全くの自由。その自由の中で各自いろんなことに挑戦し自分に自信がもてるような大事な何かを身につけていってほしい。それがねらいです。
 実際、子ども達の過ごし方はさまざま。家で勉強をがんばっているKさんやTさんは、SORAではみんなとおしゃべりして過ごしているし、料理好きのSくんは、ミニ菜園でトマトやハーブを育てています。また、イラストが大好きなOさんは、みんなにステキな絵を描いてプレゼントしてくれます。
 最近では、共通の本や映画を話題にそれぞれの意見を言い合ったり、西蔵王に畑をかりてそこで野菜をつくったり、全員で相談して購入したTVゲームで盛り上がったりと、みんな一緒に行うような活動も増えてきました。冒頭で紹介した話し合いも、そうした活動のひとつです。
 活発な部分ばかり紹介してきましたが、もちろん何もしないというもの有りです。何かを始める前には、ゆっくり考えたり休んだりする時間がとても大事です。そしてその時間も人によりさまざまなのですから。ここで紹介した子たちも、ときにはそういう「何もしない時間」をSORAで過ごしています。
 どれも傍から見れば大したことではないように見えますが、しかし、不登校になって自分に自信を失いかけている彼らにとっては、同じ目線の仲間達と一緒に試行錯誤を重ねながら過ごせる時間というのは、非常に貴重なのではないかと思います。夕方、「もう帰んなくちゃいけないのか」と名残惜しそうな子ども達をスタッフは1人ずつ見送ります。おそらく、彼らにとってSORAは居心地の良い「居場所」たりえている、ということなのでしょう。
 以上、簡単にSORAの日常を紹介してきましたが、フリースクールの運営や実践に興味をお持ちの方、ぜひ一緒に活動していきませんか。SORAは現在進行形の活動ですので、新しいものや価値を創りあげていく喜びや楽しさを日々感じることができると思います。
 実は私がSORAの活動に関わるようになったきっかけもこのあたりにあるのですが、それについては次号に譲りたいと思います。(つづく)

※『月刊ほいづん』通巻16号(2001年9月号)、8-9頁

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