中学受験の情報収集、AIで効率化しませんか? : 塾説明会編
中学受験は情報戦とも言われ、保護者会や説明会などへの参加は必須。しかし、多忙な毎日の中で時間を捻出するのは大変ですよね。そこで今回は、AI (LLM; 大規模言語モデル) を活用して塾説明会を効率化する方法をご紹介します。実際に私が最近試した方法とその結果を共有しますので、ぜひ参考にしてみてください。
塾説明会の効率化: AI を活用した手順
子供が小4になり、中学受験の準備を本格的に開始しました。塾の保護者会は情報収集の貴重な機会ですが、2時間以上の拘束時間は負担が大きいと感じていました。そこで、AI を活用して効率化を試みました。
手順は以下の通りです。
録音
説明会や保護者会では、なるべく前の方に座り、Android の レコーダーアプリ を使用して説明の全てを録音しました。録音中はスマホの画面を切っておけば、バッテリーの消耗を抑えることができます。また、バックアップ設定をオンにし、録音データが自動的に recorder.google.com にアップロードされるようにします。
家に帰ってデータを見るとこんな感じのタイムスタンプ付きデータが得られます。
00:00
え、 4 年生保護社会保障を参加いただき、誠にありがとうございます。あの? 良いよですね。小学校の方でもあの 4 年生になりまして。
…(略)...
01:07
あの本当に。まだまだ素直なえ時期ではあると思いますが、ま早いお子さんテストだんだん反抗機もあの入ってくる頃からこうえ思いますので、ま本当にこう日々これからですね。あの大変な。えことがあると思いますので。
01:24
ま、そういったえ、大変な保護者の方々のえ。もう役に立てればなと思いまして。あの今回話の方させていただきますので、まお時間約 2 時間ぐらいですね。あの取らせていただきますけれどもよろしくお願いいたします。
…(略)...
44:23
で、私からは以上となります。どうもありがとうございました。
見れば分かる通り、聞き取りミスや変換ミスが結構あります。
AI への入力
この書き起こしテキストを以下のプロンプトと共に LLM に入力します。
以下は、小学4年生向けの中学受験塾の保護者説明会の自動書き起こし結果です。そのため、時間のタイムスタンプが含まれているほか、音声の誤認識も含まれています。書き起こしの文章から、誤認識を正しく直したうえで、以下の 3 つを順に出力しなさい。つまり、1. を出力した後に、2. を出力し、必ず最後に 3. を出力します。
1. 重要なポイント、注意すべきポイントを参考書のような文体でセクション立てで markdown 形式でまとめなさい。セクションヘッダーにポイントを書き、理由などの付随情報はインデントされた箇所にまとめなさい。
2. 1. をまとめる時に削除した情報を列挙しなさい。
3. 1. を読み直し、チェックリストを作成しなさい。
===
${ここに書き起こし}
このタスクならモデルは何でもいいのですが、Claude 3 と Gemini 1.5 Pro を試しました。結果はどちらもあまり変わりません。
結果
出力結果の一部をご紹介します。説明会の内容がよくまとまっています。
テスト
テストの結果に一喜一憂しない: 4年生のテスト範囲は限定的で、入試に直結するものではない。復習の機会と捉え、次のテストに向けての準備に注力する。
大切なのは、学習習慣を身につけ、繰り返し努力すること。
テストの結果は、志望校の合否とリンクすることが多いので、しっかりと準備をする。
学校選び
志望校は早めに検討する: 目標があると学習への意識が変わるため、4,5年生のうちから文化祭や体育祭などに参加し、お子様が「行きたい」と思える学校を見つける。
説明会は子供にとっては退屈なので、文化祭や体育祭の方が学校の雰囲気を掴みやすい。
特に中学受験の場合は、コロナ禍で学校見学の機会が減っているので、行ける時に行っておくことが重要。
子供との接し方
自己肯定感を育てる: 自分に自信がないと入試本番で力を発揮できない。
ただし、自己肯定感「だけ」があるのも危険。
努力を怠り、うまくいかないことを周りのせいにするようになる。
冷静に判断し、改善すべき点は改善していく。
カンニングは通過儀礼: 頭ごなしに叱るのではなく、なぜいけないのかを理解させる。
結果だけでなく努力を認める: 頑張りを評価することで、やる気を維持できる。
他人と比較しない: 兄弟や友人と比較すると、やる気をなくす原因になる。過去の自分と比較し、成長を実感させる。
子供の言うことを鵜呑みにしない:
「わかった」「終わった」は話半分に聞いて、きちんと確認する。
できるようになると信じる: 4年生の成績は関係ない。子供の成長を信じ、支えていくことが大切。
やってみて分かったこと
中学名などの固有名詞や略称のせいで書き起こしは結構めちゃくちゃになる
“芝、渋々(渋谷教育学園渋谷)、広尾” という音声が “芝しぶしぶ疲労” になる
こういうめちゃくちゃな部分は LLM はご認識を直せず、無視しがちになる
LLM が結構誤認識を直してくれる
"削除した情報" を出力させると、LLM が何を落としたのか再確認できる
ただ、それでも “芝しぶしぶ疲労” とかは完全に無視している
一度プロンプトを書いたので、次回以降は簡単に再利用できそう
周囲のパパさんママさんは必死にメモを取っていて偉いなーと思ったけど、自分は今後これでサボりたいと思った
こういう風にまとめると 2 時間の内容は 5 分くらいでレビューできるので、今後は2時間違うことをしていたい
まとめ
音声録音とLLMを組み合わせることで、長時間の説明会から重要な情報のみを抽出し、効率的にまとめることができました。今後も中学受験に関連する様々な作業をAIを活用して効率化していく予定です。
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