【企業が自社株買いをするメリット・デメリット】
自社株買い メリットとデメリット
🔷 米国では資金力に物を言わせて自社株買いが盛んです。
とりわけアップル(AAPL)は莫大な金額の自社株買いを繰り返してきました。
今回は自社株買いの目的、メリット、デメリット等について一緒に考えてみましょう。
ZUU onlineから詳細をご紹介します。
✌ 自社株買いとは?
「自社株買いとは、企業がすでに発行した株式を買い戻すことである」
これは文字通りの定義ですね。
では、自社株買いをする目的は何かということになりますが、
「資本効率を向上させる効果がある」からということです。
ただこのままでははっきりしませんね。
つまり、株価の引き上げという目的のために、
「株価が安いタイミングを狙って自社株買いを行っている」のです。
自社株買いを公表することは、アナウンス効果を生み出し、株式の買い付けを誘発し、株価上昇を狙い、時価総額を増大に繫げます。
⭐ 自社株買いのアナウンス効果 → 株式買い付けを誘発 → 株価上昇を狙う → 時価総額の増大
✌ 株価が変動する仕組み
自社株買いをするとどんな変化が起きるのでしょうか?
PER(株価収益率「株価÷EPS」)とROE(自己資本利益率「EPS÷BPS」)に変化
※EPS「当期純利益÷発行済株式総数」
※BPS「自己資本÷発行済株式総数」
PER・・・分母(EPS)が増えるため、PERは低下する
ROE・・・分母(BPS)が減り、かつ分子(EPS)が減るため、
ROEは上昇する
✌ 企業が自社株買いをするメリットと目的
自社株買いをすると株価が上昇する傾向があるということが注目点です。
1 株主への利益還元と資本圧縮を両立できる
「余剰資金のある企業は自社株買いを検討することが多い」ということです。
2 ストックオプションの獲得
「市場に流通した自社株を買い戻せば、役員や従業員に対してより多くのストックオプションを付与できるようになる」
ストックオプションの使い方次第で、昇給よりも大金を得られる可能性があります。
「社内全体のモチベーションアップにつながる」ことになりますね。
3 敵対的買収の防衛策
自社株買いによって、自社の持ち株比率を高められるので、
「敵対的買収(TOB)の防衛策としても機能する」ということです。
「特に先端技術やイノベーションに携わる企業は、海外から買収される可能性がある」
先端技術を保有している日本企業が最近米国企業によって買収されるケースが増えてきました。
日本から先端技術が海外へ流出することは由々しき問題です。
4 事業継承資金の調達手段になる(※中小企業の場合)
「国内の中小企業は、経営者(オーナー)が自社株の大半を保有しているケースが多い。自社株買いを行うと、会社の資金が経営者個人に流れるので、経営者はまとまった資金を調達できる」
「事業継承資金の調達手段としても活用されており、株式の売却益は事業継承時の納税資金として使われている」
何事にもメリットがあれば、デメリットもあります。
✌ 自社株買いにはリスクや注意点も潜んでいる
1 資金繰りが悪化しやすい
自社株買いをすれば手元資金が減ることになるので、「当然のことながら資金繰りは悪化しやすくなり、キャッシュ不足に陥れば確実に倒産に近づく」ことになります。
そのため、「余剰資金があるタイミングを狙うことが鉄則となる」のです。
2 自己資本比率が低下する
自己資本比率(自己資本÷総資本)は社会的信用を測る重要な指標です。
そのため、「自己資本比率が極端に下がらないようにする工夫が必要」になります。
3 買い付け時のルールが設けられている
「上場企業の場合は指値注文の金額やタイミング、1日の買付数量などに制限がかけられている」
「上場していない中小企業に関しても、『財源規制』と呼ばれるルールが」あり、「分配可能額(※利益剰余金とほぼ同額)を超えた自社株買いを禁止する規制」がある。
✌ 自社株の処理方法によっても影響が変わる
自社株買いによって株式はどうなるのでしょうか?
社内に「金庫株」として保管されることになります。
金庫株の2つの処理方法
1 自社株の消却
「消却とは、買い戻した自社株を社内で消滅させる方法のこと」で、
「発行済株式総数を減らすことで1株あたりの価値が上昇する」という効果があります。
2 自社株の処分
「金庫株を再び市場に流通させることを意味する」ので、
「増資と同じような仕組み」になります。
問題は、「処分する自社株が多いほど、市場における1株あたりの価値は下洛していく」ことです。
今回は、自社株買いについてご紹介しました。
⭐ まとめ
・自社株買いとは?
「自社株買いとは、企業がすでに発行した株式を買い戻すことである」
・自社株買いにもメリット・デメリットがある
◎メリット
1 株主への利益還元と資本圧縮を両立できる
2 ストックオプションの獲得
3 敵対的買収の防衛策
4 事業継承資金の調達手段になる(※中小企業の場合)
✗デメリット
1 資金繰りが悪化しやすい
2 自己資本比率が低下する
3 買い付け時のルールが設けられている
・金庫株の2つの処理方法
1 自社株の消却
2 自社株の処分
出典元: ZUU online
企業が自社株買いをする4つの目的!リスクや注意点、処理方法による違いなども解説