見出し画像

■第14回 AIの進化で人間の仕事は4パターンに変わる!?

1 ロボットとAIであらゆる仕事はなくなってしまうのか!?

 5年くらい前まで、「AI(人工知能)によってホワイトカラーや専門的な仕事までなくなってしまうかもしれない」といった話には、それほどリアリティーがなかったように思います。しかしここにきて遠くない現実として語られるようになってきました。

 ロボットがブルーカラーと呼ばれる単純労働を奪ってきたように、AIはホワイトカラーと呼ばれる仕事、果ては医者や弁護士といった高度な専門職までターゲットにしているようだと。いずれ人間がやるべき仕事はなくなってしまうのではないか。

 あるいは早々にシンギュラリティ(AIが人間の知能を超える転換点)がやってきて人間はAIに支配され、指示命令される立場になってしまうのではないかといった悲観的な見方まで聞かれます。

 AIはロボットとも合体し始めました。ソフトバンクグループが買収した米国のボストン・ダイナミクス社のロボットの動画などを見ていると、まるで自らの意思で動く生き物のようです。バク宙はするわ、バランスを取って高い壁を駆け上るわ、氷の上で滑ってもすぐに立ち上がるわ。人間をはるかに超えるパワーも持ち、それでいてセンサーとAIで的確に状況判断をしてくれる上に人間の指示命令にも忠実。水中あるいは放射線や猛毒の漂う中でも24時間文句も言わずに働いてくれます。

 AI搭載ロボットには、物理的な能力でも、知的能力でも、従順さでも人間はかないっこありません。

 悲観論が渦巻く中、「ロボットやAIが人間の仕事を肩代わりしてくれるなんて夢のようじゃないか、彼らに働かせて人間はその恩恵にあずかればいい。趣味でも好きなことでも仕事に縛られていた時間を自由に生きればよい」と考える人もいます。

 楽観的と考えるべきでしょうか、あるいは前向きと捉えるべきでしょうか。

 遡ること100年ほど前の1920年代にロボットをイメージした「メトロポリス」というSF映画が話題になりました。ご覧になった方もいるでしょうか。この頃から、ロボットが人間の仕事を奪ってしまうのではないかと当時の人たちが大慌てしたと聞いています。

 史実はどうだったでしょう。確かに産業用ロボットをはじめとするロボットに取って代わられた仕事はあまたありました。が、それ以上に新たな仕事が増え、人類は進化を遂げて平均的な生活レベルも上がっていきました。

 ロボット自体の設計や運用、改良はもちろんですが、単純労働自体はロボットがやってくれて、新たな知的労働が増えていったのです。つまり悲観派が想像したような全人類の失業は起こらず、仕事はむしろ増えて高度になった分大変になりました。楽観派が期待していたような仕事のない世界にもならなかったのです。

 ロボットとAIの登場を同じものとして捉えるのは乱暴だと思いますが、かつてパニックを経験するも結果としてそうはならなかった史実に学び、私たちはそろそろAIや進化したロボットとの付き合い方の未来を、冷静に考えるべき時期ではないかと思います。

ここから先は

9,404字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?