■第18回 企業の人事に今求められている3つの視点とは
1 人事部門は、ルーティンと働き方改革への対応でめいっぱい?
「組織や仕事のあるある問題、こうして解決」シリーズも今回が最終回です。時事ネタも含めて書いてみたいテーマはまだありますが一旦締めと致しましょう。
最終回に取り上げるテーマは「企業の人事に今求められている3つの視点とは」です。これは経営者と人事部門への提言でもあります。
仕事柄、人事や教育担当の方とお話しする機会が多いのですが、ここ数年で働き方改革に代表される幾つもの課題を経営から突き付けられているのが分かります。現場に求めている以上、旗振り役である自分たちが派手に残業するわけにもいかず、かといって人的パワーは増えるどころか縮小気味、そんな中で解決するべき課題が人事部門に山積しているのです。
人事や教育担当者には日常のルーティンの仕事もいっぱいあります。そんな中で3つの視点のうち、後の2つが置き去りになっているような気がしてなりません。
■人事部門に今求められている3つの視点
A.グローバルで勝つための「生産性改革」に向けた人事施策
B.業界再編を見越した「生き残りとビジョン達成」のための人事戦略
C.AIやロボットによる「生産性革命」に向けた人事施策
3つの視点の1つでもないがしろにしていると、企業にとって遠くない将来、成長の足かせとなりかねないと私は危惧しています。
本シリーズの中で触れてきた内容もあるので、振り返りも兼ねながら説明していきたいと思います。
人事や教育担当者には日常のルーティンの仕事もいっぱいありますと言いました。当該部門の方には説明するまでもありませんが、一般読者の方のためにも、普段スタッフ部門の業務量に気付いていない経営者の方のためにも、ここで整理しておきましょう。
多くの企業では期初に大きな組織見直しとそれに伴う異動や昇進、昇格があり、遡ってやるべき業務がたくさんあります。
毎月の給与計算や支払い(いわゆるペイロール)、社会保険関連業務は外注しているケースも多いでしょうが、昇給や賞与は査定の部門間調整やとりまとめも神経を使います。福利厚生制度はバブル崩壊後に一斉に縮小されたものの、ここにきて独自の制度を含めて企業規模によらず見直され始めています。
採用では新卒採用の通年化に中途採用、障がい者の法定雇用率の確保に外国人採用も考えなければいけない状況が生まれつつあります。採用だけでなく、退職者への対応も大事な仕事です。
教育では新入社員研修、フォロー研修、階層別研修や昇格前後の研修に加えてコンプライアンスやハラスメント、ダイバーシティや情報管理対応などやることは増えるばかり。
さらには勤怠、ハラスメント、うつや過労死、メンタルヘルスへの対応など実に広範囲に及びます。中小企業で人事専門部署を置く余裕のないところなどは総務が兼任していたりして、さらに業務が錯綜(さくそう)しています。
「人事部門に今求められている3つの視点」のA.~C.は、これらのルーティンには含まれない話ばかりです。はたして貴社の人事部門では十分に取り組めているでしょうか。
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