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■第3回 「副業」は慎重に進めた方がいい明確な理由
1 「副業・兼業」解禁元年?
政府が2017年度内(2018年3月)までにも、「副業・兼業」の事実上の解禁に踏み切る予定だとニュースになりました。「武田斉紀の『組織や仕事のあるある問題、こうして解決』」、第3回のテーマは話題の「副業・兼業」です。
事実上の解禁というのは、ものの性質上法律で定めるということではなく、政府が厚生労働省を通して示す「モデル就業規則」上で禁止していたものを容認に切り替えるということです。
強制力はありませんが、これを機に現状8割以上の企業が禁じている「副業・兼業」が解禁となる見込みです。
年功序列型賃金、企業別労働組合と並ぶ三大日本的雇用慣行の1つであり、戦後の日本経済の成長エンジンとなっていた「終身雇用制度」に、また1つ大きな風穴が開くことになるでしょう。
政府の意図はどこにあるのでしょうか。1つは明らかに「少子高齢化に伴う労働力不足の解消」対策です。
今さらご説明するまでもなく、この国は少子高齢化の坂を転げ落ちようとしています。ジェットコースターでいえば、一番高い位置で周りを見渡しながらも迫りくる急降下にどきどきしている状態。人=労働者がいなければ経済発展どころか、またたく間に衰退してしまうかもしれないという恐怖が迫っているというのです。
一方ではAIやIoT、自動化などのIT技術の進展で、10年後、20年後にはかなりの仕事がなくなっているという予想もされています。個人的には生産性が一気に上がって、未来の日本の労働人口でも十分すぎるくらいにならないかと楽天的なことを考えているのですが。
そうなったらなったで、世界中に失業者が溢れているか、他国のほうが経済発展が進んで、日本は相対的に小さい国になっているのかもしれません。
「たられば」ばかりを言っていてもしょうがありませんね。少子高齢化による労働力不足はすでに始まっている喫緊の課題です。国としてはすでに働いている人も生産性を上げて残業していた時間が空いたのなら、そこで「副業・兼業」して労働力を補ってほしい。
また今働きたくても働けないという主婦の人たち、働ける元気な高齢者のみなさんにも労働市場に参加していただきたい。そのためにはもっと働き方を多様化して、短時間や好きな時間で、わざわざ会社に来なくても働けるように変えていかないと、ということです。
政府の意図のもう1つは、「働き方改革」で残業がなくなってできた時間をプライベートに使うのもいいが「副業・兼業」をしてみてはどうかという提案です。
先ほどの日本の労働力不足解消の意味もあるでしょうが、むしろ人生100年時代を前にさまざまな世界を知って選択肢を持ってもらいたい。終身雇用によって1社しか知らない人生ではなく、いくつかの世界を知ることで個人の可能性を広め、本業へのシナジー(相乗効果)にも役立ててほしいということのようです。
そうすれば本業の残業代がなくなって年収が下がった分も補えて一石二鳥ですよ、とも言いたいのでしょう。政府がベースアップを企業にしつこく迫っているのも、平均年収を上げないと物価も上がらず、デフレによる景気後退が懸念されるからです。
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