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■第7回 「人を褒めるのが下手」な会社や人のカンタン克服法

1 「人は褒めると育つのか、叱ると育つのか」は“される”側で判断

 組織において「人は褒めると育つのか、叱ると育つのか」については、人それぞれの考え方があると思います。が、判断基準は褒める側や叱る側ではなく、“される”側にあるはずです。

 褒められること、叱られることで、“される”側が本当にやる気になって、成長しようとするかどうかが大事なのです。

 私が基本に置いているのは、叱ってばかりいると相手がどうなるかです。

 親が小さい子どもに対して「あれはやっちゃダメ、これもやっちゃダメ」と叱ってばかりいると、その子はどうなっていくでしょう。何かやるとまた叱られるのではないか、叱られたくないから変わったことをしないでいようと考えるようになります。そうしてどんどん萎縮していくのです。

 あらかじめ叱られないと分かっているルーティン(日々決まった行動)や指示されたことはやりますが、それ以外のことには積極的に取り組まなくなる。中には叱られても全く意に介さない子どももいますが、それは叱った効果が出ないタイプというだけのこと。叱り続けることを正当化する理由にはなりません。

 相手が大人だとどうでしょうか。私はコンサルティングの仕事を通して、オーナー会社の社長や強権的な上司が部下を叱ってばかりいる会社を何度も見てきました。

 普段から叱られ続けていると社員たちはどうなっていくでしょうか。怒られたくないので余計なことはしない、自ら考えない、ただただ指示を待つ体質に変わっていくようです。

 親が子どもを全く叱るなと言っているのではありません。私も人の親ですから、子どもを叱ったことはあります。それはどうしても今伝えておかなければいけないと思った、限られた場合でした。

 叱るたびに愛情を持って叱っているのか、“する”側の都合で自分の感情に任せて叱っていないか、本当に子どものためになっているだろうかと自問していました。

 親子だと分かりやすいのですが別に叱りたくて叱っているわけではありません。叱ればしばらく気まずい空気になりますし、叱れば叱るほど子どもは自分に対して良い感情を持ちません。そして萎縮していくのが分かるからです。

 私が声を荒らげて子どもを叱ったのは中学生のときが最後だったように記憶しています。本人が素直だったのもあると思いますが、それも中学時代を通して1度か2度だけでした。

 それぞれが高校生になったある日、2人きりになったときに質問してみました。「最後に叱ったのはいつだったか覚えてる?」。返ってきた答えは私の記憶と一致していました。私はもう叱ることは多分ないと思うよと話しました。

 あなたも大人になってきていること。そして、自分も大人になって何十年にもなる今でも失敗もするし、自分では気付かないことはある。完璧な人に叱られるならまだしも、お互いに失敗している大人同士が叱るっておかしいでしょう。だから指摘やアドバイスをすることはあっても、叱ることはないと思うよと。

 人はできれば叱られたくない。できることなら褒められたいと思っているのではないでしょうか。それが“される”側の本音です。普段、指導されている人、尊敬している人からならなおさらでしょう。

 しかし現状はどうでしょう。みなさんの会社では上司が部下を「褒める」場面と「叱る」場面、どちらを多く見かけるでしょうか。あなた自身は部下に対して普段「褒める」場面と「叱る」場面、どちらが多いでしょうか。

 日本の多くの企業を見てきて私が感じるのは、「人を褒めるのが下手」な会社や人がいかに多いかです。ということで、第7回のテーマとして、「『人を褒めるのが下手』な会社や人のカンタン克服法」を取り上げてみます。

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