【読書感想】朝井リョウ、伊坂幸太郎、石田衣良、荻原浩、越谷オサム、白石一文、橋本紡『最後の恋 MEN'S つまり、自分史上最高の恋』
2018.01.07 恋愛アンソロジー読了。
朝井リョウ、伊坂幸太郎、石田衣良、荻原浩、越谷オサム、白石一文、橋本紡『最後の恋 MEN'S つまり、自分史上最高の恋』
優しい恋の話が多かった。キラキラした虚像の話ではなくて、現実に起こる恋のお話。どの話も生活感があってそれが好ましかった。
私が特に好きなのは2編。
朝井リョウと石田衣良さん。 .
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◆朝井リョウ『水曜日の南階段はきれい』
『何者』の神谷光太郎が主人公。『何者』で、光太郎が探していた翻訳家との話。
ウン十年前に卒業した高校の校舎を思い浮かべながら読んだ。渡り廊下、人通りの少ない階段、その先の図書室。高校生の時、私もこんな風に恋していた。すれ違うだけでドキドキした。話し掛けたら声が上擦ってしまって恥ずかしかった。朝井リョウは、瑞々しいと言われると嫌みたいだけれど、言葉のひとつひとつが水粒のように輝いていて、それってやっぱ瑞々しいんですよ。眩しくて羨ましくてもう手に入らないとわかっている瑞々しさが、朝井さんの短編にはありました。 .
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◆石田衣良『イルカの恋』
7編の中で、私が最も心を揺さぶられた話。ストレートの祐介と性転換手術をして女性になった千尋と、その2人を見守るアルバイト店員あゆみ。
勤労生活に疲れ、人間関係に辟易した人間は、熱病のような恋よりも静かに悼むような恋を求めるのかもしれない。千尋もあゆみも、そして祐介にもシンパシーを感じて切なくなった。3人が3人ともに最高の恋をして、それは最後の恋となった訳だけど、幸せになるためだけに恋をするわけじゃない。気付いたら恋をしていた、離れられなくなっていた、それも幸せだと私は思う。
あと、石田衣良さんはセックス描写に躊躇がなくて好きだ。奇をてらうわけではない、恋人としての行為をキチンと表現するところが好き。イルカの恋でも、生身の人間としての熱が感じられてそこがとても印象に残った。
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