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犯罪者たち(2023)

ロドリゴ・モレノ監督の2023年作品「犯罪者たち」を見た。

ブエノスアイレスの銀行で働くモランは、この先20年以上このまま退屈な人生を歩むより、定年まで稼ぐ金額を盗んで隠し、自主して刑務所に入って模範囚として3年半後に出所して残りの人生を自由に過ごそうと考えた。

モランに突然呼び出された同僚のロマンは、現金入りのバッグを無理矢理渡され、「預からないなら共犯者だと警察に話す」と脅されて、やむなくモランが盗んだ金を隠す役割を担う。

銀行は対面を保つため事件を表沙汰にせず、内部調査を始めた。ロマンは共犯者ではないかと疑われ、酷いハラスメントを受けるが、なんとか口を割らずに耐え続ける。しかし、事件のせいで他の同僚がクビになったり減給になったりしては心を痛め、どんどん精神的に追い詰められていく。

そんな犯罪映画として展開する第1部は、ゆったり目の展開の中にも緊張感が漂よう。

金を隠し続けることに限界を感じたロマンが、耐えきれず刑務所のモランに会いに行くと、モランはコルドバの山の岩の下に金を隠すことを提案し、ロマンは指示通りに山へと向かう。

ここから映画は第2部となり、これまでの都会でのギスギスした日々とは全く異なる、コルドバの豊かな大自然の中でゆったり過ごす展開へと切り替わる。今度は大自然と魅力的な女性とロマンとモランの物語が展開するのだ。

第1部と第2部が全く異なるトーンで、犯罪映画だと思って見ていたものが、いつの間にか中年を迎えた2人の男が人生を見つめ直す映画へと変化し、「Adonde Está la Libertad(自由はどこにあるか)」という楽曲に繋がっていく。

そうか… このまま一生この銀行で毎日同じように働き続けるのが良いのか?と最初にモランが考えたところから、結局は自由を求める中年男性のお話だったのだな。全然、犯罪映画ではなかったよ。189分の長尺に付き合ってこの展開とは…ビックリだ。

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