タタミ(2023)
ザーラ・アミール・エブラヒミ&ガイ・ナティーブ監督「タタミ」を東京国際映画祭で観た。これまた凄い作品を観てしまった!
タイトルが「タタミ」なので、なんだかよくわからないし、観なくていいかな…と思ってたんだが、たまたま上映時間がタイミング良かったので観てみたら、凄すぎました。驚きました。興奮がおさまりません!!!
スポーツものの熱量と緊迫感で始まった映画に、途中から政治的な緊迫感が掛け合わさって、凄まじい展開になっていく。観ているだけで息が苦しくなる圧迫感。モノクロで撮っているのも効果的。
国から華々しく送り出され、世界女子柔道選手権に出場したイラン代表のレイラは、国に初の金メダルを持ち帰るため、家族のためにと気合十分で試合に臨んでいた。
初戦を見事に決め、今日は調子がいいぞ!とメダルが獲れそうな予感がするレイラだったが、そこにイランの柔道協会から電話が入る。このまま勝ち抜くとイスラエルの代表選手と対戦する可能性があるため、今すぐ試合を棄権しろ。これは国の命令だ!と。
最初はレイラの味方をしていたコーチも脅されて棄権を勧める側になり、レイラは孤軍奮闘となるが、それでも国を代表して、スポーツ選手として正々堂々戦いたい。だから、棄権はしない。
すると、「両親を拉致したので助けたければ棄権しろ!!」「家族がどうなってもいいのか!?」と政府からの脅迫はエスカレートしていく。
そんな極限の精神状態の中でもレイラは戦い続け、勝ち続け、脅され続けて…
あまりにも凄まじい。あまりにも悲しい。でも目が離せない展開で、サスペンスフルに国家の闇を描く骨太の作品。これは、タイトルは置いといて、絶対に観るべきだと思います。