![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149178000/rectangle_large_type_2_fa8f0a332aef555efa25a795fc8905d3.png?width=1200)
ルックバック(2024)
藤本タツキの原作漫画を、アニメーション監督でアニメーターの押山清高が監督・脚本・キャラクターデザインを手がけてアニメ化した「ルックバック」。
原作漫画も読んでいたが、その原作が持つ力をアニメの力で増幅・昇華させ、最大限に素晴らしい形で仕上げた見事な作品だと思う。まさに、青春映画の傑作。一生大切にしたい10代の友達との思い出と、創作への献身的な取り組みが痛いほどに伝わる。
アニメだからこそ表現できる、動きによる感情表現と演出には、眼を瞠った。藤野が京本と初めて会った日の帰り道に歩く姿や、2人が手を繋いで街の中を突き進んでいく姿など。
この、アニメだからこそできた素晴らしい動きの表現とは逆に、アニメだからできる音の演出では、物語を盛り上げるための劇伴が(曲自体は素敵なのに)特に後半でうるさすぎて、感動を押し付けてくるような圧すら感じてしまったのはやや残念。
藤野と京本の声をあてた河合優実と吉田美月喜の演技は特筆に値する見事さ。
58分という尺の中に、無駄なくぎゅう〜っと詰め込まれた内容は、短尺を感じさせない高い満足度を残す作品でした。
と、作品そのものは素晴らしいのだが、これがODS扱い(「Other Digital Stuff」つまり「映画以外のコンテンツ」という意味)の一律1700円という価格設定であること、そもそも"映画ではない"という扱いをすることにも引っかかりがある。立派な映画ではないですか。
個人的には小学生のときに学級新聞に4コマ漫画を描いていて、一時は真剣に漫画家をめざした過去の想いが交錯するが、それは本作の評価と関係ないからね! でも、創作の孤独さと創作に向かう真摯さは良く描けていたと思います。