ロボット・ドリームズ(2023)
パブロ・ベルヘル監督の「ロボット・ドリームズ」を観た。
ニューヨークに住む孤独な1人暮らしの主人公。1人で対戦ゲームをしてみたり、漠然とテレビを眺めたり、レンジでチンのディナーを食べたり… なんだか虚しい毎日が続く。
窓越しに見えるお隣りのビルでは、恋人同士が楽しそうに過ごしていて、ちょっと羨ましくなったりする。そんなある夜、主人公はテレビのCMで見かけた友達ロボットを思わず注文してしまう。
早速届いた超重い梱包を開け、一生懸命組み立てる主人公。完成したロボットのスイッチを恐る恐る入れると… 彼は最高の友達だった!
これまでの生活とはかけ離れた楽しく幸せいっぱいな毎日に気を良くした主人公は、ロボットと共にニューヨークの名所をまわって過ごし、夏の終わりに海水浴に出かける。
そして… 。そう、ロボットを泳がせたものだから、その結果…。しかも、タイミング悪く、ビーチは来年の夏まで閉鎖されてしまう。
離れ離れになってしまった2人は、再会を心待ちにしながら、それぞれの時を過ごす。やがて…
この映画の世界では、擬人化された動物たちが人間同様に暮らしていて、主人公はドッグ。
全編セリフはないのだけど、音楽や環境音によって違和感なく街の賑やかさや感情が豊かに表現され、情緒的な物語がしっかりと伝わってくる。世界中の誰が観ても物語が理解できるであろう、これは見事な演出だ。
寂しさ 楽しさ 焦り 諦め 思いやり…
そして、最後に切なくほろ苦い気持ちが残り、自分が失くしてしまった大切なものに想いを馳せる。でも、そんな気持ちを片方に抱きながら、僕らは新しい毎日を生きて行くのだ。
この気持ち、ちょっとした誤解で別れてしまったカップルが、お互いのことをたまにふと思い出して愛おしく思うような気持ちに似ているかもしれない。
そんな、素敵な映画です。心に沁みる傑作!
12月に9月の思い出を振り返る「September」に泣かされます。
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