口腔の不健康が、全身に影響するという事実②
歯科の二大疾患と言えば、う蝕(虫歯)と歯周病だろう。
う蝕(虫歯)が重症化すると歯髄(歯の神経)が感染を起こし、歯髄が壊死する。
その状態で放置すると、感染は歯を飛び出し骨にまで拡がってしまう。
そうすると、う蝕(虫歯)由来の歯周炎=根尖性歯周炎に罹患してしまう。
う蝕(虫歯)であっても、重症化すると歯周病になってしまうのだ。
歯周病は、一般的に歯を支えている歯肉や骨に炎症が拡がる病気で、歯の喪失リスクが高まり、最終的には歯を失うこととなる。
だが、それだけが問題ではないのだ...
歯周病が様々な全身疾患と深く関係していることを知っているだろうか?
歯周病と関連する疾患をざっと列挙する。
①循環器病全般:歯周病にかかっている人はそうでない人に比べ1.5~2.8倍も循環器病を発症しやすい
②糖尿病:歯周病は糖尿病と相互に悪い影響を及ぼす。つまり 糖尿病患者は歯周病が悪化しやすく、歯周病患者は糖尿病の血糖コントロールが難しくなる。
③早期低体重児出産:歯周病の妊婦が早産になるリスクは歯周病でない人の7.5倍。
④誤嚥性肺炎 :誤嚥性肺炎を起こす細菌の多くは、嫌気性菌(酸素のないところで発育する菌)。歯周病原細菌は、酸素の少ない歯肉の中で増える嫌気性菌。誤嚥性肺炎から見つかる細菌は、歯周病原性細菌を中心とした口腔細菌。
⑤関節リウマチ:炎症性物質(TNF-α)が深く関わっている。更に、相互関係があり、歯周病が悪化すると関節リウマチが悪化し、関節リウマチが悪化すると歯周病が悪化。これは歯周病菌(Pg菌)によりリウマチに関連する物質が増えるといわれている。
⑥認知症:歯周病菌のポルフィロモナス(P.g.菌)やトレポネーマ(T.d.菌)などが生成する物質によって活性酸素が過剰に生産され酸化ストレスになって細胞が破壊される。同様にこれらが脳内で働くことで脳細胞が破壊されると考えられてる。
など。
その他にも、多くの疾患に関係性があることが示唆されている。
歯周病が全体にあると、手のひらと同サイズの潰瘍があることと同じ。
28本の歯の全周に5mmの歯周ポケットがある場合、ポケット内の面積は大人の手のひらの大きさに相当する(約72㎠)
歯周病の歯肉潰瘍面の総面積は約72㎠でそこからLPS(内毒素)などが血流に侵入する。
歯周治療や口腔の定期ケアは、歯を残すためばかりではなく、血管にゴミを入れないために、そして代謝性疾患予防・改善のためにも大切であることは、もう言うまでもないですよね?
もし身体に、手のひらサイズの潰瘍がずっとあったらと想像してください。
今日から何をしないといけないかは、明らかです。
口腔に愛を。