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エバー航空といえば「ハローキティジェット」


1.はじめに

台湾のエバー航空と聞けば、機体にサンリオのキャラクターをラッピングした「ハローキティジェット」を連想される方は今も昔も多いかと思います。
この「ハローキティジェット」には私も過去の台湾旅行の際、何度かお世話になったことがあり、その都度大いに楽しませていただいたものですが、今日はそんな彼女たちとの思い出を振り返ろうと思います。

2.ハローキティジェットのあゆみ

エバー航空の「ハローキティジェット」の歴史は、2005年に始まりました。

台湾ではもともと「ハローキティ」をはじめとするサンリオのキャラクターが幅広く人気を博していました。

そのようななかで日本のサンリオがコラボグッズの機内販売をエバー航空に持ちかけたところ、当時CEOを務めていた創業者・張榮發氏の四男・張國煒氏(注1)が「それならいっそ機体のラッピングや、機内食・アメニティグッズなどでもコラボしてみては」と主張したことが、「ハローキティジェット」就航のきっかけになったと伝えられています。
(出典:フリー百科事典ウィキペディア)


こうして、両社は業務提携を締結。2005年10月22日福岡~台北(中正)(注2)線「ハローキティジェット(初代)」ことA330-200(B-16303)が就航。
サンリオの遊園地「ハーモニーランド」(大分県)を訪れる台湾人や、台湾を旅行する日本人の間で大きな話題となりました。
(注1)のちにエバー航空ほかエバーグリーングループの役職を辞し、スターラックス航空を創業。
(注2)現在の台湾桃園国際空港

「ハローキティジェット(初代)」(2008年)

「ハローキティジェット(初代)」は好評を博したため、翌2006年には早くも2機目が用意されることになりました。
2機目に抜擢されたのは、A330-200(B-16309)
「ハローキティジェットⅡ」の愛称で、2009年まで日本路線を中心に活躍しました。
私も2008年に大阪(関西)~台北(桃園)線でお世話になったことがあります。

「ハローキティジェットⅡ」と「ハローキティジェット(初代)」(2008年)

さて、「ハローキティジェット(初代)」と「ハローキティジェットⅡ」はそれぞれ2008年、2009年に惜しまれつつ運航を終えました。
これにより、一時はエバー航空からサンリオラッピングの旅客機が消滅することになったわけですが、利用者サイドからは復活を求める声が多かったようで、2011年には新しく導入されたA330-300計3機が「2代目ハローキティジェット」としてお目見え。以降13年間、経営者の交代やコロナ禍による国際線冬の時代を乗り越えて台湾と世界を結び続けています。
日本路線や香港路線といったアジア内路線で人気を集めた「ハローキティジェット」ですが、今度は欧米への長距離路線の利用者からも「サンリオキャラクターを描いた飛行機に乗りたい」という声が上がるようになりました。
これに応える形で、2013年には長距離路線用のB777-300ERにも「ハローキティジェット」が登場。
B-16703号機がサンリオキャラクターをずらりと並べた「ファミリージェット」として、台北(桃園)~ロサンゼルス線で華やかなデビューを飾りました。
なお、このファミリージェットは間合い運用でアジア内路線の運用に入ることも多々あり、私も一度台北(桃園)~香港線で搭乗したことがあります。

「ファミリージェット」(2013年)

2011年のA330-300導入に合わせて華々しく復活を遂げた「ハローキティジェット」ですが、最終的には「ハローキティジェット(初代)」と「ハローキティジェットⅡ」を含め、計6機のA330シリーズが延べ10種類のサンリオキャラクターのラッピングをまとい、日本路線を主戦場に活躍することになりました。
また、2016年以降はA321-200にもサンリオキャラクターのラッピング機が登場しています。(現在は退役済)
A330シリーズの「ハローキティジェット」のうち1機が「アップル」ことA330-300(B-16332)。
2011年に登場した「2代目ハローキティジェット」のうちの1機で、2015年3月に福岡発台北(桃園)行きのBR105便で搭乗する機会がありました。

「アップル」(2015年 福岡空港)

3.「ハローキティジェット」搭乗時の写真


ここでは、2015年にエバー航空の福岡発台北(桃園)行きのBR105便で、当時就航していた「2代目ハローキティジェット」の「アップル」(A330-300・B-16332)に搭乗した際の様子を詳述させていただきます。

【参考】当時の弊ブログ記事

「アップル」(2015年 東京国際空港)

エコノミークラスの客室。
座席の枕カバーは、「ハローキティ」をはじめとするサンリオのキャラクターが描かれたもので統一されています。

エコノミークラスの客室
座席の枕カバー

座席に備え付けられた枕、エチケット袋も特別仕様
また、乗客向けの記念品であるトランプもあらかじめ各席に1箱ずつ備え付けられていました。

エチケット袋・枕・トランプ

機内エンターテイメント用のヘッドホンを包んでいるビニール袋にも、可愛らしいハローキティのイラストが。

機内エンターテイメント用のヘッドホン

個人用モニターに流れるボーディングムービーは、ハローキティ主演のアニメです。

ボーディングムービー

座席前ポケットの「安全のしおり」も、「ハローキティジェット」用の特別版が用意されていました。
サンリオのキャラクターに興味のない乗客も多く、また安全に関わるツールということで、「安全のしおり」をサンリオとのコラボの対象とすることに賛否両論はあったのかもしれませんが、通常の機体に用意されている「安全のしおり」と比べて特段見難くなければ問題はないのかもしれません。

安全のしおり

機内食もよく見ると、メインの牛丼にハローキティのリボンの形に切り抜いた人参がトッピングされていました。

機内食

アペタイザーの中にも、ハローキティを象ったかまぼこが入っていました。

ハローキティのかまぼこが入ったアペタイザー

福岡~台北(桃園)線という飛行時間2時間程度の短い路線ですが、食後にはアイスクリームの提供が。
このアイスクリームも、サンリオとコラボしたデザインの容器で提供されました。

食後のアイスクリーム

プラスチック製の食器の取っ手にも、ハローキティが。

プラスチック製の食器

化粧室のハンドソープや消毒液、ハンドクリームも、ハローキティの顔を描いた容器に入っていました。

化粧室のハンドソープ類

「ハローキティジェット」のサンリオ盛りだくさんのサービスは、機内に限ったものではありません。
こちらは台湾桃園国際空港第2ターミナル「ハローキティジェット専用自動チェックイン機」
「ハローキティジェット」で運航されるフライトにチェックインする際は、こちらの自動チェックイン機を利用できるようです。

ハローキティジェット専用自動チェックイン機

4.「ハローキティジェット」の現在


2005年の「ハローキティジェット(初代)」の就航からまもなく20年。
最盛期より機数こそ減ってしまいましたが、2024年8月現在3機のA330-300と1機のB777-300ERが「ハローキティジェット」として運航されており、いずれも日本路線に投入されることがあります。

A330-300「パーティージェット」(2018年)
B777-300ER「シャイニングスター」(2017年)

この約20年間、経営陣の交代やコロナ禍による航空恐慌など、エバー航空や「ハローキティジェット」を取り巻く環境は必ずしも一筋縄ではいかなかった面があります。
それでも、長年にわたりある意味台湾航空業界のイメージリーダーとして君臨してきた「ハローキティジェット」には、今後も末永く日本をはじめとする諸外国から台湾を訪れる人々、台湾から世界各国へ旅立つ人々を目的地に送り届ける役割を果たして欲しいものです。
個人的には、最新鋭のB787シリーズの「ハローキティジェット」が登場することを期待したいところです。

5.おまけ

エバー航空にはサンリオのキャラクターをあしらった特別塗装機の他、航空連合「スターアライアンス」の特別塗装機も在籍しています。
この「スターアライアンス」特別塗装機B777-300ER・B787-10の各1機が存在し、うちB787-10については実際に搭乗した経験があります。
また、現在は退役しましたが、A321-200の「スターアライアンス」特別塗装機が運航されていたこともありました。
この7月、コロナ禍を経て5年ぶりに訪台する際に搭乗したフライトに、「スターアライアンス」特別塗装のB787-10が充てがわれた時は、自分とエバー航空が何とも不思議な縁で結ばれているように思えてなりませんでした。

エバー航空A321-200「スターアライアンス」特別塗装機(B-16206)
エバー航空B787-10「スターアライアンス」特別塗装機(B-17812)

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