インドネシア人労働者が増えている台湾
台湾では近年インドネシア人の出稼ぎ労働者が急増、2020年時点で全人口の約1%にあたる約26万人のインドネシア人が居住し、主要都市を中心にコミュニティを築いています。
インドネシア人出稼ぎ労働者の大半(75%)は女性で、その多くが看護・介護・家事手伝い、あるいは製造業に従事しています。
【参考資料】
「台湾における外国人受け入れの動向と影響」(国立社会保障・人口問題研究所 中川雅貴氏 2021年)
台湾の主要都市を歩いていると、コロナ禍前に訪問した時よりもブルカを被ったインドネシア人とみられるムスリムの女性を見かける頻度が増えたように思います。
コロナ禍前の2017年12月に訪台した際、週末の台北駅1階コンコースは同郷の仲間たちと待ち合わせるインドネシア人女性たちでごった返していました。
「ふるさとの訛り懐かし停車場の・・・」という石川啄木の短歌がありますが、台湾のインドネシア人出稼ぎ労働者にとって、台北駅の1階コンコースは週末になるたび故郷の仲間たちと再会し、故郷の言葉で語り合えるかけがえのない場所になっています。
インドネシア人労働者が増えるとなると、彼ら彼女らの胃袋を満たす場が必要になってきます。
ということで、台湾各地ではインドネシア料理のレストランが相次いで開店しました。
写真は2024年7月、台北駅の西側で見かけたインドネシア料理店「SYARIAH」。
どこかで見たような名前のお店だなと思いましたが、実は5年前・2019年に台北を訪れた際、台北駅東側の「台北地下街」にある同名の「SYARIAH」というインドネシア料理店で食事をしていました。
店内はビュッフェ形式で、客は各々好きな料理を好きなだけ取り、食べる前にレジで会計を済ませるスタイルになっていました。
中華圏でいうところの「自助餐」スタイルです。
日曜日限定で、名物の焼鳥「サテー」も提供されていました。
もともと、インドネシアからの労働者を当て込んで開店したレストランですが、一見さんで飛び込んだ日本からの観光客にもフレンドリーに対応してくれる素敵なお店でした。
外食店と合わせて必要になってくるのが、ムスリムやヒンドゥー教徒に対応したインドネシアの食材を取り扱うスーパーマーケットやコンビニエンスストアです。
この手のスーパーマーケットも、台湾の主要都市のインドネシア人コミュニティがある地域を中心に開店しており、2019年に高雄駅近くのホテルに宿泊した際も、すぐ近くでインドネシア料理店のほか「南洋百貨」というスーパーマーケットを見つけました。
インドネシアをはじめとする東南アジア諸国の食材だけではなく、衣類やコーランなど、生活全般に必要なアイテムを取り扱っていました。
あくまで一観光客としてインドネシア料理店やスーパーマーケットに立ち入ったに過ぎない身なので、あまり偉そうなことを語れる立場ではないですが、台湾に旅行する機会があれば、ぜひ一度インドネシア料理店やミャンマー料理店(注)を訪れてみて損はないと思います。
日本ではなかなか味わえない本場の味を楽しみながら、台湾と東南アジアとの結び付き、東南アジアの文化について考えるのはそうそうない機会です。
(注)新北市永和区南勢角にミャンマー人街があります。台北市内から地下鉄(台北捷運)中和新蘆線でのアクセスが便利。