ドラマの世界から現実に引き戻される瞬間
昔からドラマや映画を見ていて気になっていたことがある。良い作品ほど、劇中の些細な違和感が気になり、そっちの世界から一気に現実に引き戻される瞬間ってないですか? めっちゃ細かいことだけど、それを昨日のドラマで久々に思い出しました。
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「不適切にもほどがある!」昨日も面白く見ました。すっごく面白かったんですが! ひとつだけめちゃくちゃ気になることがあった。裸だったムッチ先輩がTシャツを着る瞬間よ。
Tシャツの首回りを両手で広げて、顔が触れないように着てたの。
ちょっと待て、昭和の男がそんな着方しないでしょ!
と、一気に現実に引き戻された。
これが令和男子でメイクする子ならわかるけど、ムッチ先輩はもっと雑に着るでしょ。
で、なぜムッチ先輩がそんな着方をしたのかというと、化粧がTシャツにつかないようにするための俳優さんのクセじゃない? あくまで想像ですが。真実は分からない、でもそう見えちゃったんだからしょうがない。
役柄と合わない動作をされると、それまでがいくら良くても一気に興ざめしてしまう。これはムッチ先輩は悪くなくて、監督にカットをかけてほしかった。もし「昭和男子に見えて、こんな動作をしちゃうのがムッチ先輩ですよ」というなら別に構わないですよ。意外と細かいところに気を遣う性格というなら、どこかで回収してくれると思うので見守ります。
さっき見直したら、該当シーンのムッチ先輩は画面の端で見切れてる上にピントがボケてる状態だった。そんなところでよく気づいたな自分、と我ながら呆れた。
これで思い出したのが、映画「ブルージャスミン」のケイト・ブランシェット。
コーヒーを飲むシーンで、口を大きく開けて、歯に当たらないように一気に喉に流し込むような不自然な飲み方をしていたのね。ほんの一瞬の動作ですよ。
それを見たとき、「歯に色素沈着しないようにするための女優さんのクセだよね」って思ったんだ。
こちらの場合は、上流階級出身の役だったので、美しい歯を保つために普段からのクセになってる設定だとしても不自然ではない。がしかし、上流階級が出てくる映画やドラマで、こんなコーヒーの飲み方を見たことがないので、やっぱり違和感があった。あの瞬間、ジャスミンさんじゃなくてケイト・ブランシェットに戻った気がして集中力が切れた。(あのシーンだけは微妙だけど、ケイトブランシェットは好き
もう演技がどうとかいう話ではなく、スクリーンとかテレビ画面の向こうの世界観にマッチしていないところを見たら我に返ってしまう。
これは作品が良いからこそ気になることであって、むしろ雑なつくりの方が細かい点は気にならない。たとえば、勇者ヨシヒコの世界観なんてツッコミどころ満載だけれど、最初から受け入れてるしそれが面白さの1つなので多少の違和感も流せる。
例えが悪いけれど、ゴミ屋敷にゴミが1つ増えても気にならないけど、モデルルームのような家にホコリが落ちてたら「どうしたのかな」って気になるような感じ。(ヨシヒコをディスってるわけではない
細かいところが気になるということは、その他99%ほぼ完ぺきという裏返し。このドラマもブルージャスミンも好きだもん。
これにかすった話で、もうひとつ思い出したのは、ずっと昔に見た、たぶん大原麗子のインタビュー。
大原麗子は自分の役の自室のセットを見て「自分の役はこんな色のカーテンをつけない」と言って変えさせた、とかいう話だったと思う。記憶が定かではないので本人のインタビューか、別の人が大原麗子について語っていたのか忘れたけど、とにかく「女優ってすごいな。役を理解して小道具まで注意を払うんだ」と感心した。彼女の演技はあまり知らないけど、いい女優さんだったに違いない、ってね。
以上、”細かすぎて伝わらない違和感”でした。
周りに言っても理解してもらえないので、ここでボヤいてみました。別にあらさがしをしている訳ではなく、純粋にドラマを楽しんでるだけなんだけどね。「なんでそうなるの?」っていう違和感をふと見つけると、まあいっか、で流せないタイプです。
noteでは何回かドラマの違和感について書いているんだけど、たぶん、人間が人間らしくない動きやセリフを言うのがダメなんだと思う。見ているこっちはフィクションの世界とわかった上で、登場人物はその世界において矛盾なきノンフィクションな存在でいてほしいんだね。
<追記>
もしかして、ムッチ先輩が”令和からタイムスリップした息子”の可能性あったりする? だとしてもあの動きは違う気はするけど