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初々しい高齢カップル
日常生活の中には小さいミステリーが転がっている。ミステリーというと大げさに聞こえるけれど、「なぜそんなことをしているの?」「なぜそれがそこにあるの?」「なぜそれが起きたの?」という小さな疑問のこと。すべての人にその機会は腐るほどある。そう、"すべての人"に。それに気づくか気づかないか、興味を持つか持たないか、それだけの話なのだ。
わたしはそれを1人で深堀りして妄想するのが趣味。キモイと思われたくないので外では話さないけれど脳内は自由でしょ。
中には調べたり検索すれば、すぐに答えが出るものもある。しかし事実確認をしたいわけではなく、目的はあくまで”想像すること”。たとえすでに動かしがたい事実があるとしても、ブログの独り言なら別に問題ないだろう。間違いなんてどうでもいい、むしろ”創造”は素晴らしいものだ。
一方で、本人に聞かなきゃ分からないこと、聞き込み調査でもしなきゃ分からないこともある。事件でもあるまいし、よほど仲の良い人でなければインタビューしようもない。
こういうケースは、より一層妄想が掻き立てられる。悲しいことに謎のままで終わることがほとんどなのだが、それはそれで構わない。
そういう「途中までの事実」+「わたしの妄想」セットを日々作っては忘れている。いつも小説のネタにしようと思うのだけれど、全然書いていないのでもういいかなと思い、気が向いたら残していくことにした。
※実は過去にも似たシリーズを書いている。タイトルは違うけれど本記事はパート②ということにしておく。
たとえばこんなの↓
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週末に出かけた地方の史跡。教科書に載るほどでもないが、名の知れた武将がいるその史跡は、土日でも人がごった返す場所ではない。その上、史跡の範囲も広大であるため、人とすれ違うことすらあまりない。
そんな中、広場の片隅にある某武将の銅像前で、60代以上とみられる男性と10歳以上年下であろう女性が手を繋いでいるのに鉢合わせた。
うんちくを話している男性を見つめ、いちいちうなずく女性を見たところ、熟年夫婦ではないことは確かだ。であれば最近、結婚したのだろうか。ある程度年齢がいってからの歳の差婚は身近ではないが、世間を見渡せば珍しくもないだろう。
しかしそれにしても、2人の様子はあまりに初々しく、付き合いたての10代のカップルかのような熱を帯びていた。恋に年齢など関係ないのだ——と初めて知った。
……てなことはどうでも良くて、誰がどう見ても不倫旅行だろ。
男性はジャケットが似合う上品な紳士で、女性も小ぎれいにしている。2人ともその年齢まで異性に縁遠いということはないだろう。そもそも、この清潔感は独身男性では難しいと思われる。身の回りの世話をしてくれる人がいるほどのお金持ちならいざ知らず、大抵このような人にはしっかりした奥さんがいる。
それにしてもこの寂しい史跡に、しかも春先でまだ緑もなく殺風景な景色の中で熱い2人が歩いている姿は、ものすごーく目立っていた。わたしと一緒にいたほかの2人も「あれ、不倫だよね」と即座に言うほど、彼と彼女を独特の雰囲気が取り巻いていた。
一緒にいた2人のうち1人はさほど敏感なタイプではない。それでも感じるものがあるのだから、人間の感覚というのは鋭いのだろう。
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文章にすると特に面白くもなんともない、ドラマにも良く出てきそうな不倫のワンシーンではある。でも実際にその現場を見ると、めちゃくちゃ興味津々。
「奥さんとの関係は?」「二人はどこで知り合ったのか?」から「ここで奥さん登場となったら、どんなシーンがあるだろうか」など妄想が止まらない。
忘れてはならないのが、これは創作ではなく真実だということ。この光景を見たからといって不倫と決めつけるのはまだ早い。100人中99人が「不倫だ」と言おうが、証拠はないのだから。ということで「ほかにどんな可能性がある?」なども考える。
創作するとすれば……2時間ドラマならこのあと殺人が起きる。恋愛ドラマなら奥さん登場で修羅場か。弁護士とかそっち系なら、実はこの女性が魔性の女で、後に男性をだますか。
物語はここからはじまる。
まとめ。
<今回の妄想ハッピーセット>
事実=初老男性と年下女性が手を繋いでさびれた史跡を歩いていた
主な妄想=不倫
以上。
ということで楽しませていただきました。
事実を書いたら1行で済んでしまったのに我ながら驚いた。人の妄想とは勝手なものよ。
本当は別のエピソードを書くために導入で軽く流す程度に書くつもりだったが長くなってしまった。