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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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#安全保障

論文紹介 ネットワーク分析で国際テロ組織の構造を分析すると何が分かるか?

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降、多くの研究者が国際テロ組織の調査研…

武内和人
1か月前
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論文紹介 冷戦期に選択的な核打撃の可能性を検討した戦略理論家の考察

コリン・グレイ(Colin Gray)とキース・ペイン(Keith Payne)は1979年にソ連がアフガニスタ…

武内和人
3か月前
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核の時代における防衛知識人の働きを記したThe Wizards of Armageddon(1983)の紹介

フレッド・カプラン(Fred Kaplan)はアメリカの防衛問題を専門とするジャーナリストであり、…

武内和人
4か月前
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論文紹介 中国が台湾に仕掛ける認知戦はどのようなものか?

認知戦(cognitive warfare)とは標的とする聴衆となる個人や集団の認知を操作し、その思考や…

武内和人
7か月前
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なぜ大国の脅しが失敗するのか?: Coercion, Survival, and War(2015)の紹介

国力に優れた大国は、自国の要求を他国に押し付けやすくなるというイメージがありますが、実際…

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武内和人
8か月前
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どうすれば戦争のエスカレーションを抑制できるのかを考察した先駆的研究War(1977)の…

アメリカの政治学者リチャード・スモーク(Richard Smoke)は歴史上の戦争の過程を分析するこ…

武内和人
9か月前
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論文紹介 国際法は武力行使の支持態度にどれほど影響を及ぼすのか?

国家が武力行使を選択したとき、人々がそれを支持しているかどうかは、再選を目指す指導者にとって重要な意味を持ちます。ある武力行使に対する支持態度を決める要因に関しては、以前から研究が行われており、(1)軍事的な効率に応じて支持態度を決定する道具的論理、(2)道徳性に基づいて支持態度を決定する道徳的論理が注目されてきましたが、最近の研究では(3)国際法の要件を満たす度合いで支持態度を決定する法的論理も重要であることが分かってきました。国際法の規範が人々の支持態度を規定する上で重要

メモ なぜ中国はベトナム戦争に介入したのか?

1965年、中国は北ベトナムに戦闘支援部隊を派遣することを決定しました。当時、北ベトナムはソ…

武内和人
1年前
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論文紹介 冷戦時代の欧州で軍事バランスはどのように分析されていたのか

冷戦の主要戦域と見なされていたヨーロッパでは、アメリカを中心とする北大西洋条約機構(NATO…

武内和人
1年前
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メモ クーデターを警戒する国家の指導者は、軍隊の能力を低下させる傾向にある

非民主的な政治体制の指導者は、合法的な手段で地位を追われることはあまりありませんが、その…

武内和人
1年前
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メモ 1967年の第三次中東戦争でイスラエルが実施した空軍による奇襲

イスラエルは建国当初から周辺諸国と対立してきましたが、国土が狭隘であったために、軍事態勢…

武内和人
1年前
24

論文紹介 安全保障学はどのようにして発展を遂げてきたのか?

安全保障学(security studies)とは、対外政策の目的を達成するため、軍事的手段を管理する方…

武内和人
1年前
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論文紹介 弱者のエスカレーションも戦略として合理性があるかもしれない

国際政治では強者が弱者に対して主導権を握っているというイメージがあります。そのため、ある…

武内和人
1年前
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論文紹介 偵察衛星の普及が国際社会の平和と安定に寄与する可能性

1981年1月、アメリカのジミー・カーター大統領は退任の際に自らの経験を振り返り、「写真偵察衛星(photo-reconnaissance satellites)が世界情勢の安定化に非常に重要であり、国家安全保障のあらゆる分野に大きく貢献する」と声明を残しました。これは冷戦期の情報活動における偵察衛星の重要性を示す内容であるといえます。 冷戦時代に米ソ間で弾道ミサイルの応酬が始まれば、わずか30分にも満たない時間で大きな被害が生じることが懸念されていました。当初、アメリカ軍

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