竹林 × ランドスケープ
「地形がおもしろいからランドスケープに力を入れるといいと思う」
この一言に、テクテクチクリンの活動の場となっている里山の可能性と、そしてこの活動の原点がぎゅっと詰まっています。
---10月17日に行われた里山整備講座---
一緒に竹林に入って里山を歩き、竹に触れて、景色を眺めた講師の永井拓生さんは、そんなアドバイスをくださいました。
今回の里山整備講座の講師・永井さんは、滋賀県立大学で教鞭を取られている建築家*1)で、滋賀県で「Bamboo House Project 」*2) というプロジェクトに携わられていた方です。
Bamboo House Projectは、滋賀県湖南市菩提寺にある放置竹林を地域の交流の場へと変える活動で、滋賀県立大の学生さんや地域の方が一緒になって、放置竹林をなんとかしよう!と取り組まれているそうです。
今回、美濃加茂にお越しいただき、Bamboo House Projectについてのレクチャーとフィールドワークを通して先人の知恵をお借りしました。
放置竹林を整備する時、もともとの竹を6割から3割に減らすことが一般的ですが、滋賀の活動では、人が過ごしやすい場所を作ることを目指して、傘をさして通れる4割を目安にしたそうです。
切った竹の使い道がたくさんあるように、遊び場になるかもと思って見てみると、残した4割の竹にもいろいろな可能性があることが見えてきます。
急な斜面では手すりになり、構築物を作ろうと思ったら柱になり、しなりを使って上の方を結んだらテントのような形になります。
斜面の上の方と下の方の竹を柱にして床を作れば、階段いらずで展望台が作れそうです。
実は、日本の竹林は山のふもとに育つことが多く、同じように、滋賀の放置竹林も山のふもとにあるそうです。
ですが、テクテクチクリンの里山では、美濃加茂の山があまり高くないことや*3)、もともと農地や民家があった場所だったことが関係して、山頂にも竹がたくさん生えています。
里山の急なところもなだらかなところも、山のてっぺんも入り口も、ちょうどいい大きさの気軽に足を運べる場所で、山の景色や地形が全部楽しめる。竹林を遊び場へ変えるにはうってつけ場所なんです。
確かに、竹で何かを作りたいと思い立ったら、ふもとの竹をかき分けては山に入り、風に揺られて山頂から景色を眺め、ふもとの古民家にいる人たちと会話をしています。
自分たちが本能的に楽しんでいたことは、意外と珍しいことで、この場所にしかない遊び場が作れるかもしれない。永井さんの冒頭の言葉は、そんな可能性に気づかせてくれました。
切った竹で遊び場を作る、散策をして、景色を眺めて、ちょっと寄り道をするように里山で過ごす。そして、自分たちの手で少しずつ手を加えながら維持をしていく。
そんな未来の里山のすがたに一歩近づいた1日でした。
(やまざき)
1)滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科 http://dda-usp.com/professor/takuo_nagai | EUREKA http://www.eurk.jp/nagai.htm
2)Bamboo House Project https://note.com/campus_sdgs_usp/n/n3cd530139201
3)岐阜の地学|可茂盆地|日本ラインhttp://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/kyo/chisitsu/gifunochigaku/index.html
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