見出し画像

攻めと守りで解くDXの正体と推進の要諦

BizteX/ロジクラCSOの武末です。

コロナショックの影響もあり、デジタルトランスフォーメーション(DX)に注目が集まっていますが、「DXとは何か?」という声を各所からよく耳にします。

私自身、2016年に創業期から参画していたスマービーがアパレル小売の1,000億円企業であるストライプインターナショナルにM&Aされ、まさに親会社も含めたDXを進める経験をさせていただきました。

今回は、その際の経験とこれまでに多くの大企業の経営層の方々から伺ってきた疑問を踏まえ、DXの正体と推進における要諦についてまとめたいと思います。

 DXが「正体不明」な理由

DXの源流は、2018年に経済産業省にて発表された『DXレポート』に拠るところが大きいと思いますが、その中でのDXの定義は、

将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変すること

と言われています。

一方で、DXが語られる場面では、デジタル技術を活用した新規事業だけでなく、デジタル技術を活用した業務改革等、ビジネルモデルに依拠しない変革も語られるようになってきました。

まさにこの多義性がDX自体を正体不明にさせており、バズワードとしては受け入れられつつも、推進において混乱を招いている原因であると思われます。では、我々のような経営層はDXをどのように捉えれば良いのか、その点について解説します。

「攻めのDX」と「守りのDX」

私は、DXは「攻めのDX」と「守りのDX」と捉えればしっくりくると考えています。

スライド2

「攻めのDX」とは、既存事業にデジタル技術を取り入れ、新規事業や新規ビジネルモデルを実現することを意味します。小松製作所の建機監視システムの外販やストライプにおけるストライプデパートメントはこれに当たります。

一方「守りのDX」とは、既存事業のオペレーションにデジタル技術を組み込み、分析基盤の構築や業務改革を行っていくことを意味します。トラスコ中山のデータ活用や各社におけるワークフローSaaS導入はこれに当たります。

余談ですが、経済産業省が発表している『DX銘柄2020』も、上記の2方向を軸に銘柄の選定が行われており、その観点で各社の取り組みを整理すると、各社がどちらの方向に注力しているのかが、明らかになっていきます。

「攻めのDX」には「守りのDX」が必須な理由

「攻めのDX」と「守りのDX」は全く異なる方向のプロジェクトと思われがちですが、実際は密接に関わっています。

スライド3

私がM&Aされて異業種の企業に参画した際のエピソードですが、「攻めのDX」を進める現場では、以下のような課題が日常茶飯事かと思います。

・IT人材を採用したいが、そもそも採用要件が分からない
・なんとか採用できたが、IT企業の職場環境と違い過ぎて定着しない
・社内受託と勘違いされ、評価が上がらずやはり定着しない

「守りのDX」の推進は、社内のコスト改善の業務改革だけでなく、「攻めのDX」を担う人材を定着させるためのインフラ作りでもあります。IT人材は当然のようにインターネット企業のようにチャットツールでコミュニケーションし自由に働きたいし、自分たちの職種にあった就業規則や評価制度で働きたいのです(当たり前のことを言っていますが、ほとんどの会社がこれを実現できていないのも事実だと思います)。

DXを推進している企業にて、IT人材の採用と合わせて、SaaSを含む様々な最新ツールを検証・導入している理由は正にこういったことであり、「守りのDX」はDXを進める上での一丁目一番地とも言えます。

「守りのDX」を進めるための要諦

「守りのDX」を進めるための要諦は大きく3つに分けられ、その中でSaaSという存在は大きな役割を担うと考えています。

1. できるところから小さく始めること
2. 小さな「成功・失敗体験」を拡散させること
3. IT企業の人材や職場環境について理解すること

元来の大企業におけるIT導入は、情報システム部門を中心とした「共通業務の改善」が主だと思いますが、デジタル技術を活用したITツールでは、小さく始めることが可能です。近年のSaaSブームの影響もあり、便利なツールは各業務カテゴリにて様々に存在するため、オリジナルシステムを開発する時間や費用をかけずとも、業務改善を実現できる環境は整っています。

画像3

(出所:SaaS 業界レポート 2019(スマートキャンプ社))

小さく始めつつ、一部門の業務改善に留めるのではなく、全社の「守りのDX」に昇華させるためには、情報システム部門や特定プロジェクトチームが「成功・失敗体験」の収集と拡散役として機能する必要があります。様々な部門にて、自らに合うSaaSを導入する意義はこういった点にあり、短期間にSaaSを活用することで「成功・失敗体験」を収集することが可能なため、それを元に、自社のワークフロー全体の見直しや文化自体の再考などを進めることも可能になります。

また、SaaSを導入する過程にて、各ベンダーのセールスやカスタマーサクセスとコミュニケーションを取ることも非常に有益です。彼らは、正に自分たちが目指す「IT人材が働いている職場」であり、ツール導入を通じて、現場メンバーと触れ合うことは、コーポレートベンチャーキャピタルを立ち上げてスタートアップ経営者と触れ合う以上に価値ある時間である可能性すらあります(なぜならば、実際に採用する人材は、経営者ではなく現場メンバーに近い存在の場合がほとんどなので)。

「守りのDX」を進める上で、SaaS導入というイベントは、単なるツール導入の域を超えた意味を持つと思われ、最もお手軽に実践できる手だとも言えると思います。但し、単なるツール導入に終わらせないためにも、「成功・失敗体験」の収集と拡散役となる部署を社内に置いて取り組んでいくことを強くおすすめします。

BizteXは「守りのDX」のソリューションパートナー

BizteXはクラウドRPA「BizteX cobit」やiPaaS「BizteX Connect」といった自社製品も活用しつつ、大企業における「守りのDX」の推進支援である「自動化コンサルティング」まで行っているソリューションパートナーです。

私自身が1,000億円の小売企業でのDXを推進していく中で得た知見も活用しつつ、これまでに様々な企業での「守りのDX」を支援してきました。

また、直近では、日本国内におけるSaaSの利用状況についても調査を進めており、こうした情報も活用しながら、いかにして顧客における「守りのDX」を進めるかをSaaS導入支援からワークフロー全体の業務自動化設計まで支援させていただいています。(直近では以下のような調査結果も公開しております)

他社の事例含め、ディスカッション段階からお話伺えればと思いますので、ぜひお声がけください。(パートナー希望の方からのお問い合わせもお待ちしております)

DXに"乗っかる" のではなく "共創する"企業への招待

昨今のDXのバズワード化もあり、スタートアップやITベンダーの中にも、DXの推進を喧伝し、自社のマーケティングにある意味「乗っかっている」企業も増えてきているように感じます。

特に我々のようなスタートアップは、メガトレンドとしてのDXに乗りつつも、自社が目指すDXを明確にし、社会全体にムーブメントを起こしていくことを求められていると思います。

BizteXは「守りのDX」の中核を担うスタートアップとして、多くの大企業の方々のソリューションパートナーになりたいと思っていますし、そういった存在の必要性に共感いただき、DXを共創するスタートアップでの挑戦に心躍らせている方々にご参画頂きたいと思っています。

世界で最も生産年齢人口の減少と少子高齢化が進む我が国において、ともに前進いただき共感いただけるビジネスマンの方々にぜひ気軽にお声がけ頂ければ幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?