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★我楽多だらけの製哲書(42)★~ビルの隙間から届いたメッセージとゲーテ~

1年前の1月、東京には「緊急事態宣言」が発令されていた。
今年も新規陽性者数が急速に増え、先日から「まん延防止等重点措置」が適用されるようになった。
しかし、1年前のSNSを振り返ってみたとき、そのときは「1000人~2000人」が新規陽性者数であった。もちろん、株の種類が異なり、重症化や死亡リスクが同じではないこともあるので、陽性者数だけで比較することはナンセンスであることは理解している。ただ、1年前は1000人~2000人で「緊急事態宣言」が出ていたのに対して、現在は1万6000人を超えても「まん延防止等重点措置」なので、違和感がないわけではない。

(以下は1年前の1月上旬の投稿である)
不要不急の外出を控えることが求められている昨今であるが、今日は午後から大切な用事があり、夕方にも別の用事があったため、私は外出をしている。そして夕方の用事のために日本橋付近を歩いていた。

夕日が街並みに差し掛かる中、それなりに高いビルとビルの間から見える景色に足が止まった。

交差点の所に来ると、十字に伸びていく道路の存在によって、ビル同士がどのように頑張っても、遠くの景色を遮ることができず、その伸びていく道路の先には「スカイツリー」が堂々と立っていた。

そしてスカイツリーは、昨日の注目すべき出来事を受けたかのような装いであった。昨日の注目すべき出来事として最上位にランクインしてくるものはもちろん「一都三県への緊急事態宣言の発令」であろう。東京都での新規陽性者数が1000人を優に超え、発令された昨日や今日はいよいよ2000人台になってしまっており、発令は時間の問題となっていたわけだが、昨日実際に発令されたということで、スカイツリーはそれを分かりやすく皆に伝えてくれているのだろうかと思うような装いだった。

「色彩は光の行為である。」
これはドイツの詩人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの言葉であるが、彼は晩年に色や光についての研究をしており、『色彩論』を執筆している。彼は色というものが、光が様々な働きかけを行う中で生まれる変化によるものであると捉えていると考えられるが、その考えが基礎となり光の分析が進むことによって色についての理解は深まり、それが現在の色彩に関わる学問の土台となっているわけである。ゲーテは色がそれぞれ単独にあるものではなく、光の活動の過程で徐々に変化するようなものと捉えており、それを「色彩環」としてスケッチに残している。

また、ゲーテの研究が土台となって生まれてきた学問の一つが「色彩心理学」と考えられるが、現代の色彩心理学において、色によって人間の心に及ぼす効果が異なることが分かっている。

例えば、青や緑は「リラックス」の効果、黄色やオレンジは「注意喚起」の効果、赤は「行動喚起」の効果があるとされている。

このような色の効果を用いて、昨今人々にメッセージを与えている代表例が大阪の通天閣であろう。
「通天閣観光株式会社(代表取締役社長:高井 隆光/以下、通天閣)と、株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、大阪府からの要請を受け、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛要請・解除の基準となる大阪府独自の基本的な考え方「大阪モデル」に基づく警戒基準の到達レベルを、5月11日より通天閣の赤・黄・緑の3色でライトアップするとともに、時計部分のLEDビジョンに大阪府メインキャラクター「もずやん」の表情を表示することで、周知します。」
2020年5月8日に通天閣観光株式会社と株式会社日立製作所の連名で出されたメッセージに従い、通天閣は警戒基準の到達レベルに応じて色を変え、人々に分かりやすくメッセージを示したわけである。そして、緑は「基準内」、黄色は「注意喚起レベル」、赤は「警戒レベル」としてライトアップされている。

この通天閣の色によるメッセージと同様に、今日、私が目にしたスカイツリーの装いは「警戒レベル」を示しているかのようだった。

それは「アカイツリー」であった。

(ちなみに、2022年1月27日時点では、スカイツリーは特に警戒のための色の表示はなされていない。それに対して、大阪府の通天閣は2022年1月24日に新型コロナウイルスの感染状況を示す独自基準「大阪モデル」に基づき、非常事態の「赤信号」を点灯させている。)

#哲学   #ヘーゲル   #スカイツリー
#色彩論   #大阪モデル
(以下、去年の様子を紹介)

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