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Slipknotの功労者

昨年の7月、僕がとても大好きだったアーティストがこの世から去って行った。

4年前の同じ時期にはリンキン・パークのボーカリストのチェスター・ベニントンがこの世を去っていて、同じ時期に亡くなったのも何だか運命のような物を勝手に感じてしまったりもした。

その亡くなったアーティストとは、スリップノットの元ドラマーのジョーイ・ジョーディソンだ。
メンバーの毒々しいマスクの中、小柄で長髪の白塗マスクにキリストの薔薇の冠を被っているのが彼の姿だ。

彼はスリップノットの初期メンバーであり、作曲やバンドコンセプトに大きく関わっていた重要人物で、各メンバーに与えられている彼のナンバーは「#1」であることからも、とにかくスゲー重要人物なのがわかる。
ちなみにスリップノットのファンのことを「マゴッツ(うじ虫共)」と称するが、その呼び名を発案したのも彼だといわれている。

彼の小さな体躯を活かした軽やかかつ手数足数の多いドラミングが僕は大好きだった。
高校生の頃、兄に「とんでもなくカッコいいバンドがいるからとにかく聴け」とスリップノットの1stアルバムを渡された瞬間、ジャケットに映るメンバーのあまりの色物感にズッコケそうになったのを覚えている。

しかし、当時ドラムを一年中叩いていた僕は(sic)という曲を聴いた途端、押し寄せる轟音の波に一気に飲み込まれた。
ボーカル、ギター、ベース、パーカッション、DJ、サンプラー……様々な音が交互に入り混じって展開して行く様は他のどんな音楽よりも刺激的だった。

頭を振らずにじっと聴き入ってみると、音の渦の中心にあるのはあくまでもドラムだと感じた。一聴すると軽く聴こえそうなスネアなのだが、決して軽い訳ではなく、周りの音を際立たせる為に敢えて高い音を出しているのだとすぐに気が付いた。
テンポのキープ力も尋常じゃねえ!と感じた。
その日から僕はスリップノットの9人いるメンバーの中でドラマーのジョーイを最も好きになった。

ライブでは360°回転するドラムセットに座ってプレイするというスーパー歌舞伎みたいなことをしてみたり、マーダードールズという別バンドではギタリストという一面もあり、またスリップノットでは作曲も担当していたりと、実はかなり器用な側面があるのも僕の好みだった。

何度か解散する噂が出たり、メンバー間が不仲になり過ぎてレコーディングが難航したりと(9人もいるからね)常に問題を抱えながらも前に進んで行くスリップノットだったが、2nd、3rdとアルバムは長い期間を置きながらも発表され続けていた。
2004年発表の「Before I Forget」はスリップノットの中でも最も有名な楽曲のひとつで、この曲で彼らはグラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス賞を受賞している。


この頃は雑誌のインタビューを見るたびに解散しそうになったりとか、不仲だったことを打ち明けたりなんかしていて、全員が彼らの象徴でもあるマスクを傍に置いてプレイするPVは決別のように感じたり、逆に素顔のままで結束したことを意味しているようにも思えたりでファンとしては当時グッと来るものがかなりあった。

※曲もPVもスリップノットの中ではダントツで万人受けしやすいと思うのでみなさんどうか観てみて下さい。

実は先日急にこの曲が聴きたくなって聴いた後、ふと気になって2013年に脱退(解雇?)したジョーイの事を調べてみたら7月に亡くなっていた事を知ったのだった。

メンバーから外された理由は「ドラッグをやっているんじゃないか」と疑いを掛けられたりお金絡みなんじゃないかなんて言われていたが、実際には多発性硬化症のような脊髄の病により足が動かず、ドラムが叩けなくなってしまったのが原因のようだった。
あれだけ長時間であんなプレイをしていたら、身体に負担が掛かるのは当然だよなぁーとは思っていたけれど、まさか亡くなっていたとは知らなかった。

高校の頃に初めて聴いてから、こんなプレイは「絶対に無理」だとは思いながらも、左手の使い方をライブ映像で学んだりもしていました。
今もドラムを好きでいられるのは、こんな偉大なドラマーを知れたことも大きな要因のひとつでもあります。

ジョーイ・ジョーディソンさん、どうか安らかに。
先に立ったベースのポール「#2」と天国でジャムっているだろうか。
天国でもあの地獄のような音を奏でていてくれるとファンとしては嬉しいです。

この記事は昨年末に書いたんですが、直そうと思って下書きに入れたまま放置していました。あちゃちゃのちゃ。
今回は完全に趣味の話しですが、お読み頂きありがとうございました。

最後に若かりし頃(と言っても全員マスクだからわからない)のSlipknotでお別れ。
「555」と言ったら「6!6!6!」と叫びましょう。

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大枝 岳志
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