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「憧れの四季に入団、そして退団」キャリアに悩むあたなたへ。転職7社、やりたいことをやって幸せになるためにボクがしてきたこと(8)

学生さんの就活相談に乗っていると、月に1~2人は、舞台やエンターテイメントの世界に進むかどうか迷っている学生さんとお話しすることがあります。好きなことを仕事にするということは、本当に難しいことだと思います。ボクの場合、20代にやりたいことをやり切って、今は舞台や作曲に関わることを全くしていないのですが、才能や縁もありますが、何よりもずっと続けられる力が、他の仕事よりもより必要だと思います。

観る天国、やる地獄

劇団四季に関わったことのある人は聴いたことがある言葉で、特に役者さんの出入りは激しく、でもそれで食べていけるのは日本の中では四季くらい。想像を絶する厳しさです。わかっていても。ボクも、四季に入ることが大変であることは容易に想像は出来ていたはずなのですが、それでもやっぱり、ずっと続けることは出来ませんでした。覚悟が足りませんでした。

主催小劇団から四季入団

仲間と立ち上げたミュージカル劇団を4年ほどやりました。年に2~3回公演をして、観客動員数も少しずつではありますが増えていました。自身は演劇学校に通ったり、他の小劇団の作品に楽曲を提供したり、活動の場も広げていました。それでも限界を感じたことの一つに、自分では満足のいく脚本を書けなかったことが大きいかな、と今は思います。やっぱり本が面白くないと作品は面白くならない。自分で書いたり人に書いたりしてもらったのですが、なかなか続かず、自分のやりたい大きなミュージカルを実現させるには程遠いと感じていました。

それでもボクに諦めずに続ける力があれば、もしかしたら別の出会いがあり、小劇団を大きくすることも出来ていたかもしれませんが、会社を辞めて数年経って、いよいよこのまま続けても何も変わらないような気がして、舞台創りを辞めることも考えていた矢先、四季の募集を見て、受からないだろうなくらいの気持ちで受けたら受かってしまった、というのが入団のきっかけです。

好きだから頑張れた

音響スタッフとして入団。通常、音響の専門学校を出ている人ばかりだったのですが、ボクの場合、自分で作曲したり演出していた、という経歴で運よく面接に受かりました。結構な数の人たちが面接に来ていたのですが、その期間の募集で受かったのはボクだけでした。あとから何故ボクを合格にしてくれたか聴いたら、一番辞めなさそうだった、ということでした。あれだけ人気の劇団でも、規模が大きいため、役者もスタッフも常に人は足りていなかったのですが、それくらい、「やる地獄」に耐えられず辞める人が多い世界なのです。

ボクは専門学校を出たわけではなかったので、訳も分からず、見よう見真似で仕事を覚えていきました。職人さんの世界なので、丁寧になんでもかんでも教えてもらえる世界ではありませんが、入って1ヶ月後には、新人ポジションとはいえ、一つのポジションを一人でこなしていました。もうそれは、やるしかない状況でした。舞台は生ものですし、当時はチケット代が今より高くて10,000円していましたので、失敗は許されません。もちろん一人でなんとかなるような仕事ではなく、音響の先輩はもちろん、別のセクションのスタッフや役者さんたちに助けられながら、なんとか毎公演を創り上げていました。おかげで、たとえわらかなくてもその場でなんとか切り抜ける力はかなりつきました。

結局は人間関係

未経験ながらも、周りの先輩たちに面倒を見てもらい、なんとか日々を乗り切っていました。休みの日に劇場に入らせてもらって練習も重ねて、他の人より早いスピードでポジションもステップアップしていました。でも結局9ヵ月で辞めることになってしまうのですが、一番は人間関係でした。子供の頃からやりたかった仕事だし、関わっている演目も大好きな作品だったし、なにより、毎回、客席からの拍手や笑い声を聴いていたり、何倍も苦労して日々演じている役者さんたちを見ていると、とても恵まれた環境でした。それでも、先輩とウマが合わず、次第に仕事が行くのが辛くなり、区切りの良いところで退団することになります。先輩との組み合わせはしばらくすれば変わったかもしれませんが、厳しい職人さん気質な世界で自分がやっていくのは、やっぱり難しいのかな、なんて思っていたこともありました。そんなことは覚悟していたはずだったのですが、ボクには足りなかったようです。

親に反対されながらも新卒入社した会社を1年で辞め、フリーターしながらの主催劇団もやるだけやって自分で解散して、子供の頃から憧れの規模の大きなミュージカル創りにも関わり、それでも続けられない以上、ボクにとっては、もう舞台をやっていく選択肢は残っていませんでした。こうしてボクは舞台に関わる人生に終止符をつけることになりました。

かなやんレベル11→12
・好きなことを仕事にするということ
・続ける覚悟はあるのか


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