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たった3週間でいい感じのデザイナーを3人採用した方法とは?

この記事は、2018-01-15に執筆されたものです

みなさま、新年明けましておめでとうございます。

UXデザイングループ マネージャーのアタラシです。個人的に2017年は良い一年でした。UXデザイングループやデザインプロセスに多くの変化があり、やっとサービスをデザインをする基盤ができてきました。2018年は、もっと良くなる気がしてます。

さて、そんなことより、デザイナーの中途採用の話ですよ。みなさんの会社では、どうしてますか?

いま、各企業におけるデザイナーニーズの高まりは凄まじいものがあり、デザイナーの価値はぐんぐん高まっている状態と言えます。需要に対して供給が追いついていないため、採用活動の難易度も上がっています。

「デザイナーじゃない人が採用担当者になり、なんとなく面接して、スキルセットの違うデザイナーを高い報酬で迎え入れてしまった・・・」

ちゃんとやらないと、こういうことも十分起こり得ます。こわい。

でも、そんな中。私たちは、2017年末の3週間ほどの集中した採用活動で、いい感じのデザイナーを一気に3人も採用することができました。うぇーい。このブログのヘッダー部分のイラストでも、人数が増えてたります。

狙い通り、と言えたら一番かっこいいのですが、ぶっちゃけ偶然が重なったところも多いにあります。とはいえ、事実は事実。この記事では、今回の集中した採用活動で実践したアクションを、いくつか公開したいと思います。よさげなアクションは、ぜひ参考にしてみてください。


採用プロセスをざっと分解。

はじめに、中途採用における企業側の一般的(?)な採用プロセスを分解してみます。

企業側の一般的な採用プロセス
1. 組織方針の明確化
2. 組織方針の達成に必要な求人要件の整理
3. 採用予算の確保
4. 求職者との接触
5. 面接(応募者の見極め/企業PR)
6. 条件提示(役割/報酬)

ざっと分解しただけでも、これだけのプロセスがあります。この記事では、上記の採用プロセスに沿って、今回の採用活動でとったアクションを紹介していきます。1~3は、ざっと。4〜6は、丁寧めに書きます。

応募者側の一般的な転職プロセスも、同様に分解してみます。

応募者側の一般的な転職プロセス
1. 転職欲の発露
2. 企業の認知・フィルタリング
3. 求人への応募
4. 面接(企業の見極め/自己PR)
5. 条件交渉(役割/報酬)

この中で、意外と忘れられがちなのは、「面接時は応募者側もこちら(企業側)を見極めようとしている」ということです。今回の採用では、特にこの点を意識した結果、よい採用につながったのかな、と思っています。

では早速、次項から、デザイン組織である私たちが今回とったアクションを、具体的に紹介していきたいと思います。


0.前提

刈り取りだけじゃなく、種まきも採用活動だと理解する。
仮に採用枠が埋まっていても、種まきは、やめちゃだめです。採用活動は半永久的におこなうもの、ぐらいの認識がよいかも。

人事に任せるのではなくデザイン組織も採用にがっつりコミットする。
気持ち的には80:20くらいでデザイン組織が強く責任持つイメージです。(実際の責任は50:50くらいなのかな?)


1. 組織方針の明確化/2. 組織方針の達成に必要な求人要件の整理

デザイン責任者を中心に、デザイン組織の方針を明確にしましょう。ここがすべての起点です。「単純に人手が足りない」とか、目の前の課題だけで動くのだけは、できるだけやめたほうがよいでしょう。

組織方針をハッキリさせておかないと、求人要件もハッキリしませんし、最終的には「あれ、どんな人が欲しかったんだっけ?」「やっぱ人が欲しいんだけど、今期の予算はもう決まっちゃってて、採用するお金がない」などと、グダグダになります。


3. 採用予算の確保

採用予算の確保に関しては、会社や事業部の懐事情、他職種の必要性などによるので、簡単な話ではありません。ひとつ言えるのは、最後は決裁者(えらい人)の決断だということ。あなたが決裁者でないのなら、決裁者の理解を得るために全力を尽くしてください。

決裁者の理解を得るということは、デザイン組織だけの問題を、ちゃんと全体の問題に変えるということです。これは口頭のコミュニケーションだけでは難しい。仕事を通して語ることも大切になります。


4. 求職者との接触

求職者と接触するためのアクションは、大きく分けると、パッシブ(受動的)なアクションと、アクティブ(能動的)なアクションがあります。

やろうと思えばできることは数多あるわけですが、すべては、かけられる採用コスト(お金、時間、人)との見合いです。できる範囲で、できることをいろいろ試しながら、投資対効果が高かったものをどんどん型化して、自分たちならではの採用プロセスを定めていきたいところです。

パッシブ(受動的)なアクション

毎週ブログを書く
メンバー全員で、毎週順番で更新中です。書く理由は主に3点。

・自社の日常やデザイン活動を伝えるため
・Wantedlyなどへの遷移数を確保するため
・デザイン業界界隈において自社の存在を示すため

毎週の更新は正直しんどいけど、個人のためにもなることなので、がんばって続けてます。デザイン業界における個人のプレゼンスをあげられるし、いつか転職するときの自己紹介資料としても使えます。

私たちUXデザイングループでは、デザイナーの田村がブログ大臣として、運用のすべてを仕切ってくれています。このように担当者を置くと、運用もスムーズに進むかもしれません。

厳選した応募ルートを複数用意する
採用に関われる人数が限られている場合は、管理コストも考えて、効果的な接点だけに絞るとよいでしょう。過去にはLinkedInやら総合的な紹介会社やらも利用させてもらいましたが、今回は、Wantedly、デザイナーに強い紹介会社だけに絞りました。

求人文面をわかりやすく書く
読む人のコンテキストを意識してわかりやすく書きました。見出し、改行、箇条書き、みたいな構造的な話から、文章としての平易さなど、考慮すべき点はさまざまですが、これ以上は長くなるので割愛。ちなみに今回は、Wantedlyに載せる募集ページの文章を、Q&A方式で書いてみました。

アクティブ(能動的)なアクション

Wantedlyでスカウトを打つ
Wantedlyでは、有料で、個別の会員に向けてスカウトメッセージを送ることができます(ダイレクトスカウト)。自己紹介やスキルなどを目視してスクリーニングするので、手間はかかります。最初は歩留り(リアクション率)が不明なので、10〜20件くらいづつ送り、様子を見ながら進めました。もちろん、Wantedlyのまわしものじゃないのでご安心をw

社員に個人的な紹介をお願いする(リファラル採用)
本当はこれが完璧に機能している状態が理想。単純にミスマッチが少ないためです。会社としては、転職希望者の人柄、スキル、キャリアプランなども紹介者経由で細かく把握できるし、応募者としても紹介者経由で会社の内情などを細かめに把握できます。

ちなみに、クラウドワークスではリファラルで成約すると、紹介した社員に会社から寸志というか報奨金がそこそこ出ます。これまでのデザイナー採用はリファラルがほとんどでした。私もそうです。

知り合いのデザイナーに声をかける
これもリファラルの一貫ではあるのですが、前項とは目的がやや異なり、主に未来の採用のための種まきとしておこなっています。接点を持つことが大事なので直接的な勧誘は特にしません。もし転職したい人がいたら案内するくらい。

デザインイベントなどで色んなデザイナーさんたちと出会うので、その縁を辿るのが基本。実際にやってみると、平日の昼間にお相手の会社付近までいくのは、かなり時間や労力がかかるので、気軽にはできず・・・あまり盛んにはやれていません。

ちなみに、クラウドワークスでは他社人材とランチすると、ランチ補助が出ます。採用の話をしなくてもいいんです。なので、タダメシを食べたいだけの方も、恵比寿にいらした際は、ぜひぼくらに声をかけてください。ぼくらもタダメシ食いたいのでw

Twitterで流れてきた求職ツイートにリプライしてみる
弊社には「代表の吉田が起業する際、Twitterで開発者を募集したところ、取締役の野村がリプライし、そこからクラウドワークスが始まった」という歴史があるのですが、さすがに今は上場企業だし、Twitterで採用なんてありえない、と思っていました。

でも今回、実際に「仕事探してます」という求職ツイートを見かけたので、会うだけ会ってみよう、と試しにリプライしたところ・・・見事にマッチングし、採用となりました。

わかったこと

Wantedly最高
ダイレクトスカウトはマジでオススメです。お金がかかるけど、かなりよかったです。リアクションもそれなりにもらえました。会いたい人だけに会える。コントローラブル。

自然応募だけでも悪くはないですが、やはり時期によって波があります。採用したいタイミングでは応募こないのに、今は休止中というときに応募がたくさんきたり。アンコントローラブル。

募集文面を書いたり、メッセージをやりとりしたり、手間がかかるようでいて、最終的には一番低コストでした。

クラウドワークスのようなwebサービス事業会社との相性はかなりいいと感じました。こちらの求める属性のデザイナーがそれなりに潜んでいるなと。

紹介会社からの紹介はWantedlyに比べると効率悪い
紹介される中で、会ってみようと思えた人は、数少なかったです。数より質で紹介してほしい・・・。数打てば当たる、と思ってるんだろうけど・・・履歴書とかポートフォリオを見る時間も有限なので。求人要件を先方にしっかり伝えられていなかった可能性はあるので、そこは次回から見直す予定です。


5. 面接(応募者の見極め/企業PR)

デザイナー全員で面接に参加する
カルチャーフィットを重視するため、デザイナー全員が「この人と仕事をしたい」と思えた人にだけ内定を出しました。

少人数組織では、単にスキルだけではなく、組織カルチャーへのフィットが超大事だと考えています。ここを軽視すると、入社後、さまざまなところで謎の調整コストが発生し、組織としてのパフォーマンスが落ちます。最悪、誰かの退職につながってしまったり。また少人数組織では、属人化させることで効率的に業務を進めていく側面があるので、そうなると、退職したときに失われるノウハウも、補填するためのコストも、デカいものがあります。

全員が面接に参加することで、上記のリスクをある程度カバーできます。(組織規模によっては、カルチャーフィットよりむしろ多様性を意識したほうがよい場合もあるのでしょうが、今はまだ想像できない・・・)

面接参加は、良いチームビルディングにもなります。全員が、組織やメンバーのこれからを考える良いきっかけになります。

応募者からすると、全員を知っておくことで、会社で働くイメージがしすくなりますね。

ちなみに、想定していなかった副産物がひとつ。採用に携わったデザイナーたちは、新メンバーにめっちゃ優しく接してくれますw そうだよね。自分たちで採用したメンバーだもんね。

相手をなるべく深く知る
今回は、いわゆるデプスインタビューで面接をおこなってみました。クラウドワークスのデザイナーは、全員、定性調査におけるデプスインタビュー経験が豊富です。

デプスインタビューのスキルを活用して相手を深く知ることで、高い納得感をもって内定を出すことができたのではないかな、と思っています。

応募者を深掘るにあたり特に効果的だった質問を、ここでいくつか紹介したいと思います。どんな人で、どういう目的で、何を目指していて、なぜクラウドワークスを受けているのか、などなど仕事の話から生き方の話まで、限られた時間の中である程度深く知ることができました。

・今までで一番の失敗と、今ならどう乗り越えるか教えてください
・今までの職場で、一番うれしかった経験、一番イヤだった経験を教えてください
・あなたの考えでは、UXってどんなものですか
・これからどういうデザイナーになっていきたいですか

面接だけでわかることは限られています。一緒に働くまでは、その人の本当のスキルやキャラクターなんてわかりません。それでも、質問を上手におこない、面接時のヒアリング精度を上げることで、実際とのギャップを減らすことはできるはずです。

なお、スキル確認の精度を上げるためには、選考フローの途中で、デザイン課題に取り組んでもらうのが本当は良いのですが、応募者が全員選考を急いでいたことと、よい課題を考える時間を確保できなかったため、実施を見送りました。

少なくとも30分は、会社や組織の説明をする
会社の歴史や事業の紹介はもちろん、組織のカルチャー、組織体制、これからの方針などもひと通り伝えました。個人向けに会社説明会をおこなうイメージです。入社後のギャップを減らすためにも、今回、特にこの点を大事にしました。

デザイナー全員と会ってもらったこと、会社や組織の説明をしっかりしたことが奏功したのか、入社した全員から「入る前と後で、ギャップはない。あるとしたらいい意味でのギャップだけ」という声をもらっています。

真摯に、正直に、話をする
信頼関係の形成を優先しました。正直に話してくれている、という感覚になってもらうことを大事にしました。

適当に着飾ったことを喋り、魅力を粉飾して採用につなげても、退職リスクを高めるだけ。会社の内情や、会社として入社後に提供できること・できないことなど、伝えられる範囲で、すべて伝えました。たとえば「自力で成長するにはいい環境ですが、充実したデザイン教育は今の我々には提供できません」など。

ちなみに、面接の最中に相手の不採用が確信できたときは、面接の場で、落とす旨とその理由を直接伝えるようにしていました。面接を受けてくれたことへ感謝し、相手の人生に少しでも貢献するためです。


6. 条件提示(役割/報酬)

内定を出したあとは、具体的な話を一気に詰めて、クロージングに入ります。今回の場合、全員が全員、クラウドワークス以外に複数の内定を持っていたので、もろもろスピード感と具体性をもったやりとりを意識しました。

給与の提示は理由とともに
現時点での評価と、入社後の期待を伝え、そのうえでこの提示額だということを明確に伝えます。期待は、具体的であればあるほどよいでしょう。
給与は、社内の給与テーブルに載せて判断するのが大前提です。前職の給与はあくまでも参考。

他社と比較するための材料を提供する
内定を複数持っている人は、どの会社も良く見えてきて、判断に困っているかもしれません。最後はとにかく相手が判断しやすいように、伝えられる情報はすべて伝えます。質問も納得いくまで受け付けてあげましょう。


番外編:選考フロー

相手の希望選考日程に合わせて、こちらの予定を全力で調整しました。社内の予定はすべて相手に合わせてズラす。役員とのMTGであろうとズラす。とにかく面接を優先(今回採用した3名は全員、他社選考との兼ね合いなどで、超速での選考を希望していました)。

今回の選考過程は一次(デザイン責任者)、二次(デザイナー全員)、最終(役員)、の3段階で実施。とはいえ3回の来訪だと時間がかかるため、「一次と二次」「二次と最終」といったように、同日に連続で実施したことも。


結果

そんなこんなで、2017年末の12月15日、18日、19日と3営業日連続で内定受諾をもらうことができました。3人とも、内定を複数もっていたので、「内定出した3人のうち、1人か2人、採れたらいいかな・・・」という感じでしたが、まさか受諾率100%とは。うぇーい。

採用した経路まとめ
Wantedlyの自然応募:1名
Wantedlyの直接スカウト:1名
Twitterでの一本釣り:1名

しかし、みんな内定を複数持っていたのに、なんでウチを選んてくれたんだろう?この記事に書いた方法が、実はどのくらい意味があって、どのくらい意味が無かったのか?そのへんの話は、来月あたりにこのブログで、本人たちに軽く触れてもらおうと思います。


最後に。人事のみなさん、マジ感謝です。この出会いは、あなたたちのおかげです。この記事ではかなりアタラシがいろいろやった感じになってますが、実際は人事のみなさんのリードしていただいたことも数知れず。今後ともサポートよろしくお願いします。

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