ビヨンド・ザ・ホライズン/マーシャル・タッカー・バンド (‘04)
Beyond the Horizon / The Marshall Tucker Band (‘04)
今回は、キャプリコーン・レコードにおいて、オールマン・ブラザーズ・バンドに次ぐ人気を誇ったグループ、マーシャル・タッカー・バンドの’04年リリースのアルバムをピックアップしてみた。サウス・カロライナ州スパータン・バーグから登場した彼らは、トイとトミーのコールドウェル兄弟を中心に結成された。彼らの風貌からも推測できるように、カントリーをベースにしたサウンドでありつつも、ブルースやソウルのフィーリングを散りばめた音楽性に加えて、トイ・コールドウェルのサムピックによる高速ピッキングが注目された。
順調に快進撃を続けていたが、トミーが自動車事故で亡くなるという悲劇に見舞われ、それをきっかけにグループは崩壊へ進んでしまう。兄弟を失ったトイの悲しみは深く、さらにはトイもグループを脱退、リーダーを失いながらもダグ・グレイ(ボーカル)やジェリー・ユーバンクス(フルート)らのオリジナルメンバーが中心となって、グループを再度軌道に乗せる。
本作はその紆余曲折を経た後にリリースされたアルバムで、ダグ以外のオリジナルメンバーはいない。しかしながら、トイ在籍時に彼が書いた曲など、かつてのグループを彷彿とさせる曲も収録されているのは嬉しい。また随所にトイのプレイをイメージしたフレーズも聴くことができる。
実は内容を知っているのに、安価(ワンコイン以下)だったので購入したので、未開封のまま保管している。
総評としては「よくあるカントリーのアルバム」という印象は否めないが、昔からのファンにとっては嬉しい一枚である。実際に国内でのレビューは寂しいが、海外では5つ星の高評価を得ている。
同時期にはアトランタ・リズム・セクションもアルバムをリリースしているが、やはり’70年代のような勢いを感じないのは寂しい。
Spotifyにも音源はリストアップされている。
何よりも現在でも活動しているのは嬉しい限りである。そういった意味でも、彼らのアルバムでは最高傑作の評価も高い’74年作品の邦題「アメリカン・ロックの鼓動〜(原題:Where We All Belong)」のタイトル同様、脈々と鼓動を続けている。