映画:ロンドン・ロックンロール・ショー (‘73)
The London Rock & Roll Show (‘73)
今回は’73年に公開されたドキュメンタリー「ロンドン・ロックンロール・ショー」を紹介させていただこう。本作はファンの間では高評価であったものの、長期間において廃盤であったためYouTubeなどがなかった時代は必死になって中古品を探したものであった。
内容は’72年8月5日にロンドンのウェンブリー・パークでおこなわれたコンサートのドキュメンタリーである。随所にミック・ジャガーのコメントがあるものの、ファンには申し訳ないが、それ以外の出演者のライヴシーンや、テッズ、ロッカーズなど、観客のファンションが注目に値する。’50年代にアメリカで隆盛を極めた「ロックンロール」が、様々な要因によりアメリカ国内で下火となったが、その炎は海を渡ってイギリスやヨーロッパへ飛び火した。
主な出演者は、裏ジャケットに記載のあるものとしては、ボ・ディドリー、ジェリー・リー・ルイス、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ、リトル・リチャード、チャック・ベリーらであるが、記載されていないが、スクリーミン・ロード・サッチ(Screaming Lord Sutch & the Savages)も出演しており、その貴重なライヴシーンは見どころの一つである。彼らはかなりマニアックな存在で、そのホラーな要素やキワモノ風のルックスも含めて、’80年代に登場したサイコビリーの初期コンピレーション盤「ブラッド・オン・ザ・キャッツ〜Blood on the Cats」にも収録されている。
‘70年代はロックンロールにとって苦しい時代であり、多くのミュージシャンにとって満足な活動ができなかった時代でもある。それ故、レコードのリリースも少なく、当時の活動状況を知るのは困難な一面もある。
私の所有しているモノは、かなり前に中古店で見つけたが、現在でも稀にネット通販で見かけることもある。
テッズのファッションは「ウィリー&ザ・プア・ボーイズ」のジャケットそのままであり、イギリスにおいてロックンロールのイメージは、テッズのファッションと同義でもある。
YouTubeの映像はこちらから。
本作は’50年代に活躍したミュージシャンが如何にして’70年代を乗り越えたかを知る貴重な映像である。このムーブメントはマッチボックス、ショワディワディやザ・ダーツといったグループによって受け継がれ、その流れは後のネオロカビリーブームの下地につながった。またそれはストレイ・キャッツがアメリカのグループでありながら、イギリスから登場する理由でもあった。