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サザンロックと大阪のヨーデルについて

今回は「ヨロレイヒ〜」というヨーデルをアメリカ南部のサザンロックと地元大阪の曲について検証してみようと思う。そもそもヨーデルは、アルプス山脈を中心としたヨーロッパで牧童たちの呼び声から発生した音楽であり、それがドイツやオーストリア、そしてアメリカへ伝わり、アメリカでカントリー・ヨーデルとして発展した。なので、ヨーロッパとアメリカのヨーデルは大元のルーツは同じであっても、発展の途上で違ったルートを辿っている。

カントリー・ヨーデルといえば、カントリーミュージックの始祖の一人であるジミー・ロジャーズが有名であり、南部のブルースとヨーデルを融合させた「ブルー・ヨーデル」として彼の音楽は広まっていった。その後、多くのミュージシャンにも受け継がれ、彼らの名盤でそのカバーを聴くことができる。

サザンロックやスワンプでのカバーの例を挙げれば

・ウェイティング・フォー・ア・トレイン〜Waiting foe a Train / ボズ・スキャッグス
・T フォー・テキサス(ブルー・ヨーデル No.1)〜T for Texas / レーナード・スキナード
・ノー・ハード・タイムス〜No Hard Times / リチャード・ベッツ(ディッキー・ベッツ)
などが彼らのアルバムに収録されている。

リチャード・ベッツは右下のコンピ盤のみに収録

「ウェイティング・フォー・ア・トレイン〜Waiting for a Train」をジミー・ロジャーズとボズ・スキャッグスのバージョンで。ちなみにボズのバージョンでドブロを弾いているのはデュアン・オールマンである。

「T フォー・テキサス(ブルー・ヨーデル No.1)〜T for Texas」をジミーとレーナード・スキナードのバージョンで。スキナードのこのバージョンにおけるスティーヴ・ゲインズのスライドギターは名演中の名演、彼のレスポール・カスタムによる粘っこいトーンが最高である。

「ノー・ハード・タイムス〜No Hard Times」をジミーとリチャード・ベッツのバージョンで。リチャード・ベッツのバージョンは、キャプリコーン・レコードのライブ・コンピレーション盤のみに収録された(近年になり彼のCDに収録)。

続いて大阪のヨーデル、「ヨーデル食べ放題/桂 雀三郎 with まんぷくブラザース (‘96)」を紹介させていただこう。本作の中心人物である桂雀三郎は、二代目桂枝雀の弟子であり、本職は落語家である。その彼が制作した自主制作CDの収録曲の一つが「ヨーデル食べ放題」である。
その後、ラジオのパーソナリティ自身が非常に気に入ったのでオンエアしたものの、特にヒットには至らなかったが、数年後にリスナーのリクエストでオンエアした際に爆発的なヒットになった。

東芝EMI 8cm CD
裏ジャケット

ジャケットからはアルプスなどヨーロッパのヨーデルを想像させるが、楽器編成はギターX2、ベース、マンドリンとなっており、アメリカのカントリー・ヨーデルのスタイルとなっている。この辺りはアニメ「アルプスの少女ハイジ」からの影響も大きいと考える。

PVはこちらから。

‘17年の彦八まつりでのライブ映像。右端にはマンドリンもおり4人編成、後ろにあるバンター(ギタータイプの6弦バンジョー)が気になる。

オマケとして「アルプスの少女ハイジ」よりOP「おしえて」。このアニメの舞台(ドイツ編を除く)はアルプス山麓であり、友人のペーターは牧童というまさにリアルな設定である。

「おしえて」は伊集加代子がメイン、ヨーデルはネリー・シュワルツとその母、ファルニー・シュワルツがスイスのチューリッヒで録音した所謂「ハイブリッド」である。

アメリカ南部と地元大阪のヨーデルを中心に紹介させていただいたが、「ヨロレイヒ〜」という歌声の奥深さを感じてもらえたら幸いである。

ちなみに「ヨーデル食べ放題」は、私の出身地であるJR大阪環状線 鶴橋駅の発車BGMとして使用されている。

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