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第34号『特別収録:走りの常識が覆された日 ― お買い物ヴィッツが魅せたラリー走行の真髄』

2014年8月13日配信(発行部数 377部)

有料エリアには2024年時点の
【たけしくんコメント】を書きます。

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◆ メルマガ版 「車の修理屋たけしくん」 ◆

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発行人の「車の修理屋たけしくん」です。

自動車の本来の性能を引き出す調律師です。
明らかに調子がおかしいのに「こんなものです」で片付けられていませんか?
適切に整備された車はとても調子がよく、一般的に考えられているよりずっと長寿命なんですよ。
僕はあなたにクルマを、そしてモノを大切にして欲しいと思っています。
プロの整備士の目線で役立つ情報を配信しようと思います。

さて、今回は第34号

『特別収録:走りの常識が覆された日 ― お買い物ヴィッツが魅せたラリー走行の真髄』

です。

こちらのメルマガでは特別に原文を掲載します。

同乗されたお客さま、不適切な足回り改変がされている中古車を譲り受け、
できるだけ費用をかけずに我慢できるレベルにまで調整できないかとのご相談を以前からお受けしておりました。

そのお車の足回りは一般に「車高調」といわれるもので、本来、自動車競技車両に装備される特別なものです。

綺麗な舗装路のサーキットで行うレースでも、未舗装路を駆けるラリーでも車高調は使用され、部品価格で70万円とか100万円とかそれ以上といわれる大変高価な部品で、その調整にたくさんの時間を費やします。

一見したところ、そのお客様の車高調はサーキットスペックで、調整範囲内では一般道を快適に走れるセットは難しいとご説明申し上げましたが、

適切な足回りとその乗り心地とはどういうものなのか…
そして、山坂道を安全に運転するということはどういうことなのか…

それらを伝えるには、実体験しかないと思いました。

別のお客様のご好意で、適切に整備されたお車の提供を受け、僕がハンドルを握り、お客様には同乗いただくことにしました。

↓そしてその直後、お客様からいただいたご感想を以下に原文掲載いたします。

先日は貴重な体験をさせて頂き、本当にありがとうございました。

「鉄は熱い内に」あの時の衝撃を一刻も早くお伝えしたかったのですが、
言いたいことが山ほどあって全然まとまらず、今に至りました(>_<)

もうキレイにまとめるのは諦めて、書き殴ります(笑)

本当に率直な意見だけ言いますと、

1.僕も間違ってました。
2.いろいろ。

以下、詳しく(できるだけ簡潔に書くつもり)。

まず、工場で僕の車の整備をしてもらいながら、
たけしさんが新車からメンテナンスされ、今夜借りてこられるお車のスペックを伺った時の印象から。

平成15年式 トヨタ ヴィッツ 1000cc 5MT ショックアブソーバはモンローのリフレックス。

通勤用および家族用、20万km以上走行、
オイル交換等メンテナンスはしっかりしている。
ということでしたが、所詮は1000ccのヴィッツ。

たけしスペシャルの足回り(乗り心地)にはすごく興味がありましたが、
「モータースポーツの経験がある」というだけで、
たけしさんの経歴に関して詳しく伺ってなかったので、
レンタカー等で僕が知ってる1000ccヴィッツの体験から、

走りに関しては、『何ができんねん?』
失礼ながらそう思ってました。

当日、実車を見てもその印象は変わりませんでした。
白色、4ドア、樹脂ミラー&バンパー、鉄ホイール、13インチ、、、
玄人好み過ぎるマジで最下級グレード・・・

助手席に座って初めて印象が「少し」覆ります。
フロアセンターから伸びるマニュアルシフト、ナルディのハンドル、ちょっと長いんじゃね?なハンドルボス、
見やすい位置にセットされ、且つ適度な大きさの追加タコメーター。

乗車してからマンションの駐車場を出るまでの間で、
サスペンションがノーマルでないことはすぐわかりました。

僕が知ってるヴィッツと比べて、しっかりし過ぎ(笑)

マンションの駐車場を出て、1つめの十字路を左へ曲がるまでの間で、
しなやかな足の動きに驚愕(゜д゜)!します。

北部CCからI原へ抜けるバイパスでは、
僕の車だったら跳ねまくる路面を何事も無いかのようにスゥーっと、、、

橋の継ぎ目の直前、激しく上下に振られ、3点式のシートベルトで
ボディブローを食らう(腹部を締められる)大きく凹んだ路面を、
僕の感覚ではとんでもない勢い(吐きまっせ、な勢い)で通過(゜д゜)!

ココまでで十分びっくりしたんですが、本番はココから・・・

「山坂道へ行きましょう!」とお誘いを受けていましたので、昔、走り屋で賑わった某所かな?と勝手にイメージしてたんですが、

まさかのHNS峠(+_+)

普通に通るだけでも、狭くて、ガタガタ、路線バスが通る分、少し広い所もありますが、基本的には対向車が来たらどうするの??みたいな幅の道、高低差が大きくUターンに近いヘアピンカーブ、ブラインドコーナーなどなど、、、

二輪ならともかく四輪で攻めるなんて、、、頭おかしい(・_・)

いくら馬力の無い1000ccとはいえ、狭んまい峠道でレッドゾーン手前まで(追加タコメーターのアラームが鳴るまで)踏めますか?

踏まれましたよ。。。

一般道を快適に走れる足は峠道で本領発揮。否!峠道も一般道の一部なのか??

一応舗装路ですけどガッタガタのバウンドゾーンを一気に通過したと思ったら、車1台分ちょいのクソ狭い峠道をアクセル全開、踏みっぱなし。。。

カーブの手前で一瞬のガッツン・ブレーキ、
減速Gに耐えようと踏ん張ったのに、ハンドル切った?と思ったら、
速攻でまたアクセルオン。。。(゜д゜)

右カーブ、スタビライザーの無い車体が大きくロール、
アウト側(左側)に全体重が乗る勢い。80扁平の頼りない左前輪タイヤから、ゴリゴリと聞き覚えのない音が、、、(゜д゜)!
イン側の右前輪が浮き始め、キャーーーーーーーーッ!!と悲鳴を上げる。

でも完全に浮くことはない。イン側の足が伸びる伸びる。

そうしてクリアするカーブもあれば、

ヘアピンカーブなどキツいカーブでは、向き変えまでは同じような展開でしたが、結構早い段階で4輪のグリップが破綻。。。
4輪とも滑ってるのをヨシとして、アクセルワークとハンドル操作で少しずつ向きを変えながら、次のカーブへ向かって全開加速。

やられましたよ。。。
お買い物ヴィッツで、あんな走りができるなんて・・・

そして、峠を下りてコンビニで見せてもらった155/80R13の紛うことなきウンコタイヤ。

ダンロップとかブリヂストンとか、メーカー名が書かれてるタイヤの肩の部分が接地するまで、使い切って初めて「このタイヤの限界はココ」と言えるんですね~。

僕なんかどんなにぶっ飛ばしても、直線・カーブ問わず同じような所しか使えてません。

いわゆるハガキ4枚分の接地面の中で、グリップがあるとか無いとか言ってました。

ラリー経験者だったんですね。
たけしさんのおかげで、WRCに通ずる走りの一端を知ることができました。

次元が違うと言われましたが、WRCは間違いなくあの延長線上にあり、
僕が今まで信じて来た考え方では絶対に到達できない世界でした。

いろんな意味でショックでした。
「アンダーパワーな車で練習する」という言葉の意味。
「タイヤを使う」「使い切る」という言葉の意味。
「安定した走り」「腕を磨く」という言葉の意味。
全て間違ってました。

一般道を快適、且つ安全に走れる足の輪郭が見えて来ました。
同時にサーキットを前提にした足と一般道を前提にした足の違いも理解できるようになりました。

途中から実況のようになりダラダラと・・・。
もし最後まで読んで頂けてたら申し訳なく、ありがたく思います。

これからもご指導よろしくお願い致します。

ブログ掲載記事よりも臨場感があったのではないでしょうか。

快適に走行するための足回りの改変については今まで数例ブログに掲載しました。

しかし、運転技術については文面でお伝えするのが大変難しく感じています。個別にお伝えするのが最良と思いますので、ご興味のある方はご連絡ください。

《第34号「特別収録:走りの常識が覆された日 ― お買い物ヴィッツが魅せたラリー走行の真髄」おわり》

それでは、次号をお楽しみに。最後までお読み頂きありがとうございました。 


◆たけしくんコメント◆

いやー、懐かしいです。あれから10年も経つんですね。

お客様:「今ついている車高調の調整範囲で、何とか乗り心地が良くならないでしょうか?」
たけし:「ムリです。」
お客様:「いっぱいまで上げてもだめですか?」
たけし:「ムリなものはムリですって。」

という押し問答を、ご来店の度にしていました。

安物の車高調整式サスペンションに備わるショックアブソーバは、ストロークが少なすぎて特性もデタラメ。

限界まで車高を上げても、ストロークが増えるわけでもないし、特性がよくなるわけでもない。何度お話しても伝わらなかったので、百聞は一見に如かず、スパルタ助手席体験してもらいました(笑)

HNS峠とは、

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