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徒然-note 45 見えない壁

徒然-note vol.45 2021/2/14

「見えない壁」

女友達に誘われ食事へ行く。流れも相まってステキないいムードの店へと入り、美味しいお酒とゴハンを楽しむ。それまではただ友達とごはんを食べて散歩するぐらいだったのだが、お店の雰囲気とお酒が手伝って、なんだかいい雰囲気になる。このただの晩ご飯が、楽しいデートの時間にいつの間にかシフトしてゆき、あっという間に過ぎていく。この時間がずっと続けばいいのにと思うけど、今は夜8:00pmでお店は閉まってしまうので店を出なくてはならない。

駅でまたね、なんて声をかけて帰りの電車に乗る。ひとり車内でその日の出来事を思い返しながら彼女にメッセージを送る。話した事、その時の表情、優しい眼差し、色んな事が頭の中に鮮明に浮かんでは消えてゆく。自分は彼女に好意を寄せている、それが確認できた感じは大いにあった。

多分に自分は彼女のことを好きになってしまった。

であれば、普通、電車の車内でその時のことを思い出すと楽しい気分になるものだ。けれども、自分はとても苦しい気持ちになって自然と涙が溢れてきた。なぜなら、自分は素直に交際へ発展させられない事情があるからだ。

例えていうなら、目の前にすごく手を繋ぎたい相手が見えていて微笑んでいる、楽しい話もできてお互いに笑い合える。真剣な話もちゃんとできる、のにも関わらず目の前にはとても分厚い透明なガラスがあり、必死で伸ばす手を見えない障害物が邪魔をする。そう思うと身動きが取れない自分の不甲斐なさに自然と涙が溢れ、そしてこぼれ落ちる。

離婚したことで身が軽くなったと勘違いしていた自分には、ある程度理解していたとはいえ、目の前の壁がとてつもなく厚い壁だったことに気づいていなかった。

ここまでは自分側の感情のものだが、もちろん彼女がどう思っているかを無視することはできない。彼女は自分のことをどう思っているのだろう。あれ以降メッセージのやり取りはたまにするけれど、言葉尻に何だか少し他人行儀感が滲み出る感じが出ていて、もしかしたら迷惑だったかもしれないなんてことを考えるようになってしまった。

今までの適度なこの距離感を保ったままこの関係を続けたいと思っているし、今もそうであってほしい。でも、デートの時間にシフトしてしまったことがキッカケで何かが変わってしまったような、そんな気持ちになり、自責の念で眠れない夜が続く。

takeshi_h






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