キングダムに学ぶ人事論
愛読する漫画がいくつかあるのですが、今日はその中の一冊である「キングダム」について書いてみようと思います。キングダムは春秋戦国時代の秦国を舞台に主人公信が、政(のちの始皇帝)とともに中華統一を目指し、大将軍になるまでの軌跡を描いた歴史漫画です。
キングダムはとてつもなく面白い
巷で話題のキングダムを最近まで読むことはなかったのですが、ヤフー時代の最後の上司でヤフーアカデミア学長の伊藤羊一さんの書籍「キングダム、最強のチームと自分をつくる」を読んだことをきっかけに、原作も読むようになりました。羊一さんの書籍のまえがきの言葉をお借りして、キングダムを紹介します。
「キングダム」はとてつもなく面白い。まず、ストーリーが圧巻である。この世から戦争をなくすために中華を統一する、という秦王・嬴政の志から生まれるストーリーだ。すべての筋書きが、この大きなゴールに繋がっていて、展開が常にダイナミックだ。そして、登場人物たちが多彩だ。国王、武将、軍師など魅力的な登場人物たちが次々と現れる。秦王の政、政の同志であり将軍への道を駆け登っている信を中心としつつ、敵も含めてその周囲も、魅力にあふれる人物ばかりだ。彼らは幾多の戦いにおいて、力強いリーダーシップを発揮し、絶体絶命の危機を乗り越え、輝かしい成果を挙げていく。さらに、この登場人物たちのセリフに、読んでいて本当に心をつかまれる。その一つひとつに、力強さがある。だから、どんどんストーリーに没入してしまう。
まさにその通りで、キングダムはストーリーがすごい。全ての登場人物に “くせ” や “想い” があり、いきいきと物語の中を生きています。そのことがストーリーに奥行きを持たせ、読者を没入させ、時々に気づきを与えさせるのだと思います。
キングダムで最も心に残るエピソード
キングダムには印象的なストーリーが沢山ありますが、数ある中でも特に心に残るのが、第493話「再出発」でのワンシーンです。秦王・政は統一した中華を法をもって統治することを宣言します。政の側近である昌文君(しょうぶんくん)は法治国家の本質を得るために獄中の政敵、李斯(りし)のもとを訪ねます。法についての見解を述べる昌文君ですが、李斯にそれを一蹴されます。そして李斯は法の本質についてこう答えます。
“法” とは願い。 国家がその国民に望む人間のあり方の理想を形にしたものだ。 統一後、この全中華の人間にどうあって欲しいのか、どう生きて欲しいのか、どこに向かって欲しいのか、それをしっかりと思い描け。それができれば、そこから自ずと法の形が見えてくる。無論、その先が大変なのだが、まずはそこからだ。気概を持ってやれ。愚かな法は国民に不幸を撒き散らす。
これを読んだ時、鳥肌が立ちました。直感的にこれは人事の話だと思いました。そして僕自身が取り組んでいる仕事に対して、今一度問いかけてみるのでした。「お前は集ってくれた社員に対しどのような願いを持っているのか?」と。
人事とは願い
会社に集ってくれた社員にどうあって欲しいのか、どこに向かって進んで欲しいのか、どんな風に働いて欲しいか。これは正しく“ 願い ”であり、人事の本質と言えます。そして、それをしっかりと描くことができれば、ひとつ一つの人事の施策は自ずとその形を表すのだと思います。例えば、就業規則では何を定めるべきなのか、評価制度ではどのような基準を設け、どのように査定を行い、どのようなフィードバックを行うべきなのか。報酬設計も組織デザインも福利厚生施策も。それぞれで何を施せば良いのかは、描いた願いに答えがあるのだと思います。どんな枝葉を描くよりも、まずは根であり幹であるこの願いを描くことこそが、人事責任者や経営者に最初に求められることなのだと思います。
Supershipグループに集ってくれた仲間に対する願いをあらためて文章化すると、以下の内容になります。
ここに集う社員が、会社の掲げるVISIONやゴールを正しく理解し、自らが持つ強みや才能を主体的かつ積極的に発揮し、チームやクライアントに貢献している状態。社員一人ひとりが自らが取り組む仕事に誇りを持ち、その道程や成果を通じて、自らの成長や貢献を実感している状態。
僕はこの願いを、昨年10月に刷新したグループバリュー “Be Super” に込めました。DATUM STUDIOをはじめ、Supershipグループの全ての社員が “Be Super” な状態に近づいていけるように、日々を大切に歩んでいきたいと思います。
さいごに
このnoteを読んでくださった方の何名かが、これを機にキングダムを読み始められることがあれば、とても嬉しく思います。あの感動を一から味わえるなんて、とても羨ましいです。伊藤羊一先輩もおすすめの一冊ですので、秋の夜長のお供に、ぜひ。
Carpe diem. Seize the day, boys. Make your lives extraordinary.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?