最近試写で観て良かった公開待機作8選
映画・ドラマ・舞台・アニメ・漫画・ラジオ・ゲーム・音楽・YouTubeなど、追わなきゃいけないコンテンツで溢れるこの時代。当然お金と時間には限りがあり、せっかく2時間と2,000円も費やすのであれば、良い映画を観たいに決まっている。というわけで、最近試写で観た作品の中から、心から推すことのできる作品のみをご紹介します♪
11/8(金)公開
『動物界』
予告編
人間がさまざまな動物に変異する奇病が流行する近未来。そのファンタジー設定をリアリティをもって丁寧に映し出し、自身にも兆候が現れ始めたことで他人事を自分事として捉え始めていく少年、そんな息子を必死に守ろうとする父親、動物化した人間を排斥しようとする人々や、共生の道を模索しようとする人々など、描かれていく人間模様にとにかく惹きつけられる。そして、動物化を人種や国籍や思想や、あらゆるマイノリティなどに置き換えるだけで、私たちが生きるこの現実に存在する数多の問題が浮き彫りになっていく。
公式HP:https://animal-kingdom.jp/
上映劇場:https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=TheAnimalKingdom
11/8(金)公開
『ロボット・ドリームズ』
予告編
セリフなし、物語を彩るメロディとアニメーションだけで魅せるボーダーレスな面白さ。擬人化された犬青年が抱える孤独にどこか『her』に近しいものを感じ、初めて目にするこの世界にときめくロボットの姿にどこか『空気人気』に近しいもの感じ、それでいてオリジナリティにも溢れており、最後の最後にはウルっとできて気持ちの良い感動に包まれる。見終えた後にはあの曲が絶対聴きたくなってしまう♪
公式HP:https://klockworx-v.com/robotdreams/
上映劇場:https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=robotdreams
11/29(金)公開
『ザ・バイクライダーズ』
予告編
アメリカ・シカゴに実在した伝説的モーターサイクルクラブにインスパイアされたジェフ・ニコルズ監督作。
描かれていくのは1960年代、モーターサイクルクラブ「ヴァンダルズ」の栄枯盛衰とそれに伴う人間模様だが、それらを通して見えてくるのは、いつの時代においても共通する普遍的な事柄と、自身の存在価値を何かに見出そうとする人間の欲求であった。
どんなに繁栄を極める企業や団体であろうと、それを形作る人や仕組みが変われば、自ずとその在り方も変わっていく。バイクとビール好きの気のいい男たちの集まりから始まったヴァンダルズもまた、徐々に勢力を拡大していく過程でその在り方を変えていくのだが、良き部分を継承していく努力、悪しき部分を改善していく努力を怠り、破滅の道を歩んでいく。その有り様は、私たちが所属する企業や団体やコミュニティ、部活やサークルなどにおいても言えることであり、それらの問題に自身がどう向き合っている(向き合ってきた)かを直視させられる。
また、ヴァンダルズ内の人間関係やネームバリューに引き寄せられていく人々の姿から、何かに所属したり肩書きを得ることで見出せる自身の存在価値に依存してしまいがちな人間の姿が見えてくる。それ自体を否定する気もなければ心当たりも多分にあるのだが、所属するに足るものであるか否かを見極める目と心、形が変わってしまった際に策を打つなり見切りをつけるなりの判断ができることの大切さについて考えさせられる。
アウトロー集団の過激で破滅的な人間ドラマかと思いきや、人の生き方について純粋に思いを巡らせられるとても社会的な作品です。
公式HP:https://www.universalpictures.jp/micro/the-bikeriders
上映劇場:https://www.universalpictures.jp/micro/the-bikeriders
12/13(金)公開
『お坊さまと鉄砲』
予告編
政権交代により民主主義となり、はじめての選挙を前に模擬選挙を行うことなったブータンの小さな村。そんな中、高僧の指示で理由も分からず銃を探し求める若い僧と、貴重な銃を手に入れるべく訪れたアメリカ人と仲介人がバッティング。選挙に興味を示さない村人たちとひとつの銃を巡る人間模様が絶妙に絡み合い、ほんわかしつつもスリリングで考えさせられてちょっぴりおかしい、地に足のついた面白さがそこにはあった。観ていなくても全く問題ないけど、『007/慰めの報酬』把握できていると、より一層楽しめると思います♪
公式HP:https://www.maxam.jp/obousama/
上映劇場:https://theaters.jp/22184
1/3(金)公開
『ビーキーパー』
予告編
これこれ!こういうステイサムが観たかった!!
隣人が詐欺被害に遭い自殺してしまったことを機に、封印していた力の全てを用いて正義を執行する養蜂家(ビーキーパー)。蜂の習性や理に倣い、不正や理不尽な出来事が横行するこの社会の歪みを調整すべく、手を変え品を変え策を講じる悪者たちの努力をいとも容易く無に帰す。プロフェッショナルの華麗な流儀や立ち振る舞い、純度100%のステイサムに痺れる105分。オススメの上物B級映画です!
公式HP:https://klockworx-v.com/bkp/
上映劇場:https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=beekeeper
1/17(金)公開
『サンセット・サンライズ』
予告編
楡周平原作の同名小説を、岸善幸監督、宮藤官九郎脚本、菅田将暉主演で映画化したヒューマン・コメディ。
震災やコロナ禍など、この現実で起こったセンシティブな題材を扱う作品となると、描かれるドラマは決まって重く深刻なものになりがち。それ自体悪いことではないし、言わずもがな細心の注意を払って描くべきものではあるのだが、そういった題材を扱っているにも関わらず、こんなにも笑わせてくれる作品がかつてあっただろうか。無論、笑いに振り切っているわけではなく、重く深刻な部分も当然扱っている。ただ、その塩梅が絶妙というか、大いに笑わされ解きほぐされた状態の心だからこそ、後々描かれていく重めのドラマがより深く沁み渡る(原作者・監督・脚本家が皆東北出身という説得力も非常に大きいと思う)。
物語の終わりに関しても、今この時代だからこそ描く価値があり、本来多様性の象徴であるべき「映画」というメディアにおいてそれを為していることに敬意を表したい。私たちが生きる現実に根差した力強い物語、そこから生じる笑い・痛み・感動で溢れ、139分という長尺も全く苦にならない力作。めっちゃくちゃオススメです。
公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/sunsetsunrise/
1/31(金)
『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』
予告編(日本版の予告が解禁前なので、海外のものです)
実在する兄弟デュオの実話をもとにした人間ドラマ。後年になって10代の頃の音楽が評価された男に巡ってきたセカンドチャンス。しかし、来るべきときに来てこその好機なわけであって、たとえ同じものであっても、遅れてやってきたそれはもう好機とは別の何かなのかもしれない。予期せぬ事態の連続に翻弄されながらも、次第に過去との折り合いをつけ始め、徐々に変化していく男の心模様に胸揺さぶられた。
公式HP:https://sundae-films.com/dreamin-wild/
1/31(金)公開
『リアル・ペイン 〜心の旅〜』
予告編
『僕らの世界が交わるまで』で長編監督デビューを果たしたジェシー・アイゼンバーグが、監督・脚本・製作・主演を務めるロードムービー。ホロコーストやあらゆる虐殺を自分事として捉えるのは、当事者や血縁でないと難しいかもしれない。が、自らのルーツを辿ることで己を知ることや、歴史を辿ることで今を、より良き未来を見据えていくことは、きっと誰もが経験し得ること。だからこそ、祖母の死をキッカケにポーランドのホロコースト史ツアーに参加し、祖母がかつて住んでいた家を訪ねる男たちの旅路には、自然と歩み寄ることができてしまう。そして、他人でもなく兄弟でもない“従兄弟同士”という絶妙な関係性が、それぞれに抱える思いが、劇中で垣間見られるさまざまな痛みが、目にする者の心にあらゆる感情を湧き起こしてくれることだろう。90分と短めの尺で面白くてグッとくるのもGOOD!!
公式HP:https://www.searchlightpictures.jp/movies/realpain
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良き映画との出会いがあなたに訪れますように。