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なぜ創業から1.5年でM&Aという選択肢を取ったのか〜2021年振り返りを添えて〜

ご無沙汰しております。InnoScouter代表の川島です。

InnoScouterでは、大企業のスタートアップ連携を支援するSaaSを提供しています。CVCや新規事業チームで集めたロングリストやスタートアップ調査の事業部門への共有など、ソーシングプロセスの効率化をサポートしています。

2021年最終日なので、振り返りを添えて、先日PRを出させて頂いた01Boosterグループへのジョインの件について書こうかと思います!

1. 2021年振り返り

Googleカレンダーを見直した所、こんな1年だったようです。

1~3月
- ターゲットセグメント決まっておらず、無料β版をばらまく
- Clubhouseで新規事業コミュニティ作り。ほぼ毎日やる。
4〜6月
- 有償導入を前提とした営業スタイルに切り替える
- ウェビナーも色々やりながらターゲットセグメント絞り込み
7〜9月
- 長い仕込み期間を経て、エンタープライズ企業の受注が積み上がっていく
- プロダクトロードマップが固まり、機能開発で迷いがなくなる。
10~12月
- 大西(CTO)がフルコミットでジョイン。開発体制を強化する。
- M&Aの話が進む。
- 01Boosterと連携したプランもリリース。事業シナジーが効き始める。

InnoScouterを創業したのが2020年7月ですので、2021年前半はまだまだプロダクトが仕上がっていない状態で、右往左往してました。

β版を無償で展開するのは、今年の上半期前半で一番の失敗でした。(プロダクトの性質にもよりますが、弊社のサービスの場合無料で展開してもあまり使われず、無理なオンボーディングをしてしまったと反省してます。)

機能要望も色々と盛り込みすぎてしまい、開発チームを混乱させてしまったかと思います。

Clubhouseのコミュニティやウェビナーを経て、刺さりやすい顧客セグメントをやっと見つけたのが今年の夏頃です。そのタイミングでプロダクトロードマップも可視化し、開発チームとのコミュニケーションにおいても、"今ロードマップ上でどこにいるのか"、"顧客にとってこの機能がなぜ必要なのか"という前提条件を言語化して取れるようになりました。(ロードマップ策定は本当に大事ですね・・!)

2. M&A

事業領域がニッチ・特殊なのもあり、アライアンスやM&Aの話は、本気度にグラデーションはあれど、しばしば来てました。他方で、やっとSaaSで売上が立つようになってきたばかりなので、さすがにまだ早いと考えており、それ程本気で取り組めてはいませんでした。そんな中、01Boosterからお声かけがあり、今回のM&Aに繋がりました。

01Boosterとは
「日本を事業創造できる国にして世界を変える」という企業理念のもと、大手企業とベンチャー企業が足りない部分を相互に補完し合い、イノベーションを共創し、事業の成長を加速するオープンイノベーションプログラム「コーポレートアクセラレーター」や社内起業家を発見・育成するプログラム「イントラプレナーアクセラレーター」を展開しています。また、起業家や社内の事業開発担当者を育成するアクティブラーニングプログラム「01Dojo」の運営やベンチャー投資、大企業の人材のベンチャー留学など、事業領域を拡大中。また、2020年2月から、個人のアイディアを形にするワーキングコミュニティ「有楽町『SAAI』Wonder Working Community」の運営を行っています。

そもそもM&Aに積極的でなかった中、何故この意思決定に至ったのか。以下のポイントから、同じグループでやった方が"事業"にとってベストと判断するに至りました。

古巣なので内情をよく理解している

M&Aの場合、売り手と買い手の情報の非対称性が必ず発生します。特に売り手側から見た際に、買い手の事業課題・組織課題などを適切に把握するのは困難です。

今回のケースですと、そもそも私自身が起業前に01Boosterにて働いており、また、事業領域が近いため定期的に情報交換を行っていたため、情報の非対称性は極めて限定的だったと思います。

ミッション・ビジョンがほぼ同じ

「日本を事業創造ができる国にして世界を変える」(01Booster)
「組織からできないをなくす」(InnoScouter)

というMissionから考えると、大企業におけるイノベーション創出の成功確率を上げる、障害を取り除くことに繋がる事業に取り組む必要があります。

そこで必要な施作と実施ステップを"Corporate Innovation Journey"と呼び、01Boosterはハイタッチなサービスから、InnoSoucterは必要なOS(=ソフトウェア)から取り組んでいます。

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目指す方向も、山の登り方もほぼ同じ組織は中々いません。

01Booster側にも経営層として参画

今回のM&Aのタイミングで、01Boosterの執行役員に就任し、全体の経営にも関与しております。

"M&A=子会社化=親会社の戦略に従う"という懸念は、そもそも親会社の戦略レイヤーにも関与することから、払拭されました。

事業シナジー

ある程度プロダクトが売れるセグメント・売り方が見えてきたので、元々販売提携が行えるイノベーション・コンサル系のプレイヤーとの連携は年内に実施しようと考えていました。

エンタープライズのセールスサイクルは長く、弊社でも最長の場合1年近くかかってしまっているので、このサイクルの短縮とパイプラインの増加、セールスコストの削減は重要な経営課題です。ここを解決するのに効果的なのは既にチャネルを持っている+デジタルプロダクトの自前開発が困難なコンサル系プレイヤーとの連携になります。この点01Boosterとの事業シナジーは固く、M&Aからあまり日数は経っていませんが、既にクロスセルやサービスの共同開発が始まっています。

また、InnoScouterとしては将来的には投資の効率化/データ・ドリブン化にも取り組みたいと考えています。そんな中で、01BoosterのVC設立はテンションが上がりました。

より良いSaaSを開発していくためには自社でドッグフーディング的に実践知を貯めることが大事だと考えています。この点、アクセラレータープログラム運営/社内新規事業支援プログラム運営/イノベーションコンサルティング/ベンチャー投資などの幅広い機能を自社内に持っているのは強い。

また、1企業体として、コンサル、SaaS、VCが一体となった組織もあまりないので、シンプルに楽しみです。

ファイナンス

そもそもInnoScouterでは、事業の特性上、VCからの調達を行なっておりません。イノベーション x SaaSのTAMは小さく、調達・購買部門など課題や業務フローが構造的に近しい領域への市場拡張か、Professional Service/コンサルをアドオンして単価を大幅にあげる、等の動きが調達戦略上必要になります。しかし、短期的にはこの選択肢を取るつもりはありませんでした。理由はシンプルで、大企業のイノベーション関連業務効率化というテーマにフルコミットしたかったからです。となると、資金調達を行うのであれば融資・事業会社連携が主になります。この観点からも、M&Aは一つの(継続的な)資金調達手段としても魅力的でした。

チームとしてもいい選択肢に思えた

InnoScouterには、10月に大西(CTO)がジョインしています。

大西とは、創業前から週末ベースでずっと一緒に開発を進めており、時に開発の優先順位・必要性を巡ってバチバチに議論する良きパートナーです。彼がフルコミットになる前のタイミングでM&Aの話が来ており、彼とも密に議論しながら意思決定を行いました。

大西と私のビジョンの中で共通しているのは、「日本でスタートアップ x 大企業のM&Aを増やす」こと。この目的達成のために最短のルートを取りました。

M&Aは事業開発の一手法

今回は株式交換によるM&Aを実施しています。

株式交換とは、売り手の株式を(一般的には)100%買い手の株式と交換と交換するアプローチで、買収時に現金の持ち出しをおさえられる+M&A後にも売り手側に親会社の株式が残るのでインセンティブがつけやすいモデルで、メガベンチャーを中心に最近よく取られる手法です。

従来はM&A=Exit(儲かる!)でしたが、このような手法を取ると、M&A=リソース調達になります。つまり、もはやExitではなく、事業成長のための一手法になります。美しいモデルですよね!

InnoScouterのサービスの延長線上で、スタートアップ x 大企業M&Aを増やすための機能を検討しておりますが、プロダクトを作る前に一度自社でもM&Aを行ってそのプロセス+課題を認識する必要があるため、その観点でも中々面白い体験をさせて頂きました。

今後&来年の抱負

今年はM&A含めて下準備の年でした。来年はグロースの年にしていきます!引き続きイノベーションプロセスのSaaS化や、データを活用した新規事業の意思決定を支援する機能を開発していきますので、よろしくお願いいたします🙇‍♂️

最後に・・・

InnoScouter、01Booster双方で絶賛積極採用中です!

InnoScouter

01Booster

Meetyでカジュアル面談もやっておりますので、お気軽にどうぞ!!

https://meety.net/matches/atvJdglcpkLM

よいお年を

何だかんだ長文になってしまいました。。最後まで読んで頂きありがとうございます!

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よいお年を!!!






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