【これからの時代の在来線スピードアップ】
今春のダイヤ改正でのこと、JR東海の中央本線で、普通・快速列車の最高速度が130kmに引き上げられました。
なかなか今の時代、スピードアップをする!という路線は少なく、珍しいな…と注目しました。
ただ、当該区間では既に特急列車は130km運転を行っており、今回、普通・快速列車も新型車両に統一することから実現したスピードアップです。
また、快速列車としても、以前に専用編成を使用する有料快速・セントラルライナーが130km運転を実施していた過去があり、比較的スピードアップが可能な条件は揃っていたことになります。
因みにこの改正、快速列車の停車駅を増やして都市部の停車本数を確保しつつ、普通列車の本数を削減。コストダウンと利便性の維持を両立するために、スピードアップが必要だったというわけです。
それにしても現代の鉄道では、スピードアップというものはあまり目指していないものに映ります。
在来線の最高速度は、特例がない限りは基本的に130km。
これはJR化後、一時期は各路線でスピードアップが試みられたものの、ブレーキ距離が延びるという問題から、結局最高速度130kmというものが、半ば限界のようになっているというのが現状です。
これは、踏切が点在する区間では、通称600m条項という非常制動時の制動距離を遵守するようにしており、それに対応できる最高速度として、最高時速130km運転が定着したというところはあります。
これは1989年にJR東日本・スーパーひたちが初めて実施した130km運転から変わっていません。
それ以降、130km運転を超える速度で運行した列車は次の通り。
・津軽海峡線 白鳥・スーパー白鳥(青函トンネル区間) 140km
※北海道新幹線開業により列車廃止
・北越急行ほくほく線 はくたか 160km
※北陸新幹線開業により列車廃止
・京成成田空港線 スカイライナー 160km
JR四国など一部では強力なブレーキを開発することによる140kmへの挑戦も行われたようですが、結局実現していないところを見ると、恐らくごく一部の特急列車のために、140kmに対応しようとすると、それなりのコストも掛かることもあり、経済的ではないところがあったのではないかと思います。
最高速度の向上には、ブレーキの問題だけでなく、各種保安装置の対応や踏切鳴動時間の調整、軌道強化などさまざまな対応工事が必要となるほか、ランニングコストもそれに伴い上昇します。
結局、在来線では踏切が存在しない路線において160km運転が一部で行われたものの、基本的には130km止まり。最高速度の面では特に在来線のスピードアップは落ち着いていると見ています。
その一方、並行する高速道路の開通などで、競争力が明らかに低下している在来線も多いのも事実。
これ以上の高速化を図るなら、新幹線の開通を…とする自治体も多いですが、果たしてこれからの日本に、これ以上新幹線が必要なのか?という所は疑問です。
恐らく、日本国土の都市分布からすると、現状で必要な残りの新規開業新幹線として必要と思われるのは、北海道新幹線(新函館北斗~札幌)と、北陸新幹線(敦賀~新大阪?)ぐらい。
個人的には、既に一部区間が開業し、残りの区間の建設で揉めている西九州新幹線は、そもそもフル規格の新幹線が必要だったのか?という疑問があります。
四国新幹線や山陰新幹線、東九州新幹線など、建設を望む声もありますが、これ以上作ってどうするの?という思いです。
既に工事に着手しているところは仕方がない部分はありますが、まだ着工していない整備新幹線区間などは、在来線の改良なども視野に置いて整備することも考えることも必要ではないでしょうか?
確かに、踏切が存在する区間で140km運転を実施するのには、安全性から現状では無理があると思われますが、少なくとも、踏切などを考えなければフル規格の新幹線でなくとも160km運転は可能ですし、車両・線路規格を整えれば、在来線でも200km運転は可能であると思います。
例えば極度に線形が悪い区間だけを高速規格に改良するなどして、新幹線ほどではなくとも速達効果が得られるようにすることは可能だと思います。
実際に、山形新幹線や秋田新幹線の峠越え区間のスピードアップで、長大トンネルを掘り抜いて改良するという方式を検討しているとのこと。この考え方を全国的に広めて考えるのです。
今後は元ある在来線をそのまま活かしつつ、効果が高いところにスポット的に高速新線を作るというのが費用面、採算、効果面からもよいと思います。
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