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冬の朝について(雑記)

 冬の午前六時は夜の延長のようで、一日中この暗さが続いたらどんなふうに感じるだろうと考える。
 遠くに見える自動販売機の白い灯りや、街灯に照らされて浮かび上がる道路の灰色。子供の頃に怖かった、林の中に蓄えられた木々の隙間の暗さ。
 朝の空気に夜の気配が混ざって、頭の中があべこべになる。
 静かで薄暗い朝の中にいると、過去の出来事を思い出す。
 あの時に選んだ選択肢が正解だったのか、逃げたのが、向き合ったのが正しかったのか。
 向き合ったからその選択が必ず正解になる、という訳でもなかった。逃げることが正解になることも、この世にはあって、それが許される環境があるということがどれだけ幸福だったのか、考える。
 そんなことを考えつつ、コーヒーやコーンポタージュなんかを淹れているうちに、いつの間にか意識は今に戻ってきて、日常が回り始める。
 自動販売機の灯りがふっと消え、周囲の暗さが薄れていく瞬間に、自分の身体から飛び出している歯車が世間に噛み合って少しずつ回転していくのがわかる。
 この心臓が原動機で、それによって回転した歯車で図らずも世界を回していくのかもしれない。


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