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虹蔵不見(ショートショート)
11月22日から11月26日ごろ
にじかくれてみえず
七十二候のひとつ。
虹を食べる怪物というものがいる。その姿は雲の形をしていて、よく見ると雲が口(と思しき部分)をパクパクとしており、それによって徐々に虹を食べていく。
その食事によってのみ、虹は空から消えるそうで、つまりは雲の形をしたこの怪物が虹を食べない限り、空には虹が残り続けるらしい。
ちなみに、秋になると人間同様、怪物は食欲が増すらしく、あっという間に虹を食べてしまう。
そのせいで、人間に見つかる大きさに虹が成長するまでに、食べられてしまい、秋から冬の季節は虹を見かけることが無くなってしまう。
そのかわり、晩秋の夕焼けや冬の雪が虹色に輝いて見えることがあるのは、雲の形をした怪物が虹を食べた後に吐き出した呼吸の一つであると噂されている。