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踏切(雑記)

 いつまでも警報音が鳴りやまない踏切があるらしい。
 なぜ止まないのかは分からない。そもそもそれが、どこにあるのかも知られていない。
 つまりそれが"地球上に存在するのかどうか"すら、分からないのだ。
 誰かが話していた噂話によると、ただのデマだとか、踏切の前で特定の行動をしたら警報音が鳴り始めるなどという話らしい。
 ただ、その踏切は永遠に開くことがなく、どれだけ離れてもすぐそばで警報音が鳴っているように聞こえるのだという。

 踏切のずっと向こうには街の明かりが灯っているのだけれど、そこには何が住んでいるのか、そもそもその明かりが″住宅の明かりなのかどうか″すら定かではない。
 とにかく分からない事だらけだが、唯一、踏切の警報音だけは確かに存在していて、それゆえにその音にすがりたがる人がとても多い。
 その音にすがった人間が一体どうなったのかは、まだ誰にも知られていない

はずだ。

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