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浮標スイカ(ショートショート)

 海で採れる果物の中でも一風変わったものがあります。それが、浮標(ふひょう)スイカです。まあ、正確にはスイカは野菜ですが。
 浮標というのは、俗にいうブイ。海に浮かんでいる、船の航路を示す標識の事です。
 このスイカがまさにその役割をするのです。
 芋づる式に繋がっているスイカ。植物の容姿を別の植物の容姿で例えるのも変な感じですが。
 そのスイカによって、船は道に迷うことなく港へたどり着くことができます。
 そして、無事に航海が完了した暁には、その浮標スイカをみんなで食べるのです。あらかじめ塩が効いていて、とても美味しいですよ。
 ちなみに、栽培品種は夜になると発光するものを選抜してきたので、航路が分かりやすく照らされます。
 一方で、野生種の中には夜に発光しないものの、日中の見た目は栽培品種と瓜二つのものも存在するので注意が必要です。
 大抵はその野生種に近づかないように、別の浮標が周辺に置かれており、注意を促していることがほとんどですが、時々間違って野生種の浮標スイカに沿って航行する船があります。
 そうなると危ないんです。いつの間にか見知らぬ土地に辿り着き、帰れなくなったということになりかねませんからね。

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