自然体験・アウトドアを仕事にしてみた③青少年教育施設は地域にとって必要な施設になるべし!
青少年教育施設シリーズ第三弾、青少年教育施設で14年勤務した経験から記事を書いてみました。前回の記事は以下から是非お読みください。
さて、今回は青少年教育施設の持つポテンシャルから、地域にとってどのような存在になっていくべきかについて書いてみようと思います。
全国的に青少年教育施設の数は減少しています。様々な背景がありますが、一番は維持管理するコストとその必要性に乖離が見られるということです。
施設の維持を目的化するわけではありませんが、私は自然体験の拠点として大切な場所だと思っています。
どうやったら残せるのか。その答えはシンプルで、「地域にとって必要だと思われる」施設になることです。なくてはならない存在でなければ、当然予算もつかず廃止となります。公共施設や公共サービス全般に言えることですが、青少年教育施設の特性や特徴を踏まえてお話ししたいと思います。
地域における青少年教育施設が担うべ役割
青少年教育施設の強みや特徴から、以下のような役割や機能を担うべきではないかと思います。
1.施設の強みを活かし、地域のハブ機能に
青少年教育施設の強みについて考えてみたいと思います。一民間組織では整備できないリソースを持ち合わせているのが青少年教育施設です。
①充実した施設
青少年教育施設では大人数規模での宿泊が可能で、多いところでは400人くらいは一度に収容できます。集団宿泊することを前提に作られた研修施設ですので、体育館、研修室、創作室など各施設で大小、有無はありますがかなり充実した施設が整備されています。
②体験に適したフィールド
街の中に建てられた施設もありますが、キャンプサイトがあったり、野外炊飯場があったり、敷地内に川が流れていたり、海のそばに建っていたり、自然体験に適したフィールドを持っていることがほとんどです。自然体験を行うには申し分ない立地条件です。
③体験に必要な備品や道具の充実
野外炊飯の備品、キャンプに使用するテント一式、クラフト体験で使用する備品、海や川のプログラムで使用するライフジャケット等々、かなりの数の備品を保有しています。利用者が全て揃えようと思うとかなりの費用になる備品を使うことができます。
④体験プログラムを提供できるスタッフが常駐している
ここは私的にはかなり重要なポイントになります。その土地ならでは、その施設ならではのプログラムを開拓し提供できるスタッフの存在です。施設のポテンシャルをどう料理し提供するかというのが腕の見せ所です。
いかがでしょうか。私も起業し独立して感じることは、これだけの強みを持った施設は地域になかなかありません。これらを生かし、地元のアウトドア事業者、観光事業者、宿泊業者と連携することで、様々な可能性が広がります。例えば地域のアウトドア事業者が施設のフィールドを活用し、人材、備品の貸し借りが行えればかなり助かるはずです。施設の敷地内にとどまらず、他組織とつながり、地域の新しい価値やを創出する可能性を秘めているのが青少年教育施設なのだと思います。そのために、地域のハブとして機能していくことが重要だと思っています。
2.地域の教育拠点として
自然体験・アウトドアの拠点となることと同時に、地域の教育拠点としての役割も大きいです。特に、施設周辺の学校と連携し、地域の子ども達に自然の中での活動する楽しさやその魅力を伝えることができます。
私が現在、青少年教育施設や大学と連携して取り組んでいるプロジェクトに「自然体験が地域愛着にどのように影響するか」調査研究するというものがあります。
地元の自然を知り、体験することが、自分の住んでいる地域に誇りを持ち「住み続けたいと思える、また帰ってきたいと思える、ずっと繋がっていたいと思える」という感情につながるのではないかという仮説を実証するためのプロジェクトです。
このプロジェクトの中心を担っているのが青少年教育施設です。公的な立場でもあるので地域の教育委員会、事業者、学校と連携することができるのです。
ハイシーズンには、毎日のように学校が青少年教育施設を利用します。その現場の数の多さや、学校とのつながりを活用して、地域での教育拠点として自然体験を推進していく役割を担えるはずです。
青少年教育施設、自然体験事業者、学校が連携し進めている研究プロジェクト
「中学生に対する地域に根差した自然体験活動が地域愛着の変容および地域愛着と行動意図の関係性に及ぼす影響-南房総学に着目して-」↓
3.地域の防災拠点として
私の住んでいる南房総市では、令和元年9月にかなり大きな台風の被害がありました。風による被害が大きかったので、屋根の倒壊や風による倒木被害が主でした。
このような自然災害の時に発揮されるのがアウトドアスキルです。電気ガス水道などのインフラがストップした際に、自分の身の安全を確保することが第一です。そして、自分の身の安全を保障できるからこそ、他者への支援ができます。その能力に長けているのが青少年教育施設とそのスタッフです。
実際に令和元年の台風被害の際には、施設外の地域の方への倒木撤去支援を行いました。一般のボランティアではなかなか支援できないようなエリアにも入り、高齢の農家さんが多い地域なのでとても感謝されました。
また、上記の強みにもあるように、宿泊もでき、炊き出し道具も揃っている青少年教育施設は自然災害発生時には大きな力を発揮します。
4.地域への経済波及効果を与える
青少年教育施設の地域経済への波及効果は大きく、大きい施設で年間延べ宿泊者数10万人を超える施設もあります。この規模の宿泊事業を経営する施設は、地方になれば地域経済に与える影響はかなり大きいです。
施設に立ち寄った後にも、利用者が周辺の観光施設に立ち寄ったり、他の事業者のプログラムを体験できるよう、資料やホームページにそのような情報を掲載してお伝えすることも大切ですね。
また、プログラムを依頼する際の外部講師、飲食提供があるので食品卸業者、宿泊を伴うのでリネンや清掃業者、施設の維持管理をするので設備の点検や修繕を依頼するメンテナンス業者、お風呂などの燃料が必要な際はガスなどの燃料卸業者、施設を運営するスタッフの雇用などかなりの経済効果を生み出しています。
青少年教育施設を最大活用しよう!
さて、ここまで地域における青少年教育施設の役割や、その特徴を書かせてもらいました。
自然体験を仕事として行っている人は是非現在青少年教育施設を訪ねてみてほしいと思います。
また、それ以外にも、観光、教育、福祉、第一産業など色々な場面での連携の可能性を秘めています。
冒頭述べたように、青少年教育施設は、子どもの数自体が減っている中で、その必要性を問われています。私は、青少年以外の人にももっと解放され活用されるべき施設だと思っています。「地域にとって必要である、無くてはならない存在である」ためにはどうすれば良いのか、施設運営者は強烈に意識しなければならないと思うのと同時に、どうしたら使い倒せるのかということも利用者として考えてくことが必要だと思います。
お読みになったみなさんは是非、お近くの青少年教育施設について調べて使い倒してみてください!
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