税務の電子化、着々と
一昨日開催された政府税制調査会の模様を伝える記事。選挙期間中であっても、年内に一定の結論を得るべき案件について、政府税制調査会での議論は進んでいる。
規制改革推進会議では、法人の電子納税(eTax、eLTax)の利用率について数値目標を定めた。その実効性を担保する取組みについても議論したが、それ以外の税務の電子化も議論の俎上に載った。
年末調整の際に適用される住宅ローン控除や保険料控除の電子化、所得税の確定申告で受けられる医療費控除の電子化、源泉徴収される個人住民税の税額を知らせる通知書の電子化などである。これらは、いずれも納税者個人の段階で紙の書類でしか把握できず、電子化の「ミッシングリンク」だった。
これらは、納税者がマイナンバーカードを使ってアクセスする「マイナポータル」を使えば、本格的に電子化できる。
ただ、当面は、「マイナポータル」の普及が不確実であることを踏まえた税務の電子化が課題となる。確かに、ICT化やネット環境の発達を踏まえると、担当部局からの提案は隔靴掻痒だろう。「マイナポータル」が普及したら、紙の書類での申告や納税は不要になる。しかし、納税者の理解があって始めて税務の電子化が生かされる。政府は納税者に「マイナポータル」の使用を強制できない以上、「マイナポータル」が普及していなくても電子化が進む方策を、当面は検討せざるを得ない。「マイナポータル」普及後の方策と、2段構えで臨むことが望ましい。
来週から、選挙中というくびきがとれて、政府税制調査会ではいよいよ所得税の議論が始まる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22308070W7A011C1EE8000/