基礎的財政収支の黒字化、1年前倒しの謎 5年に1度の「年金財政検証」にも影響する
1月30日に公表された、「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)。今回の中長期試算は特別な意味を持つ。
試算結果の1つの注目点は、黒字化達成を目標とする基礎的財政収支が、前回試算と比べ2025年度に赤字が1.3兆円減少。その要因は、税収等が0.2兆円減るも政策的経費が1.3兆円ほど減ることが主因(あとはその他要因0.2兆円増加)。2020年度以降の歳出改革は織り込んでいない試算結果だから、2019年度予算案に盛り込まれた歳出改革の効果が大きいことがわかる。財政再建のためには、歳出改革努力が重要と示唆される。
もう1つは、5年に1度の年金の財政検証に、この中長期試算の経済前提が使われるということだ。中長期試算での経済成長率が低いと、年金の財政検証で用いられる経済成長率も低く想定され、その分、年金財政にとっては厳しい検証結果が示される傾向にある。
はたして、今年の年金の財政検証の結果はどうなるか?