内部留保課税、早くも修正か

希望の党が打ち出した内部留保課税。

韓国で、抜け穴の多い内部留保課税が導入されたが、実際には税収はさほど上がらず、実効性はないというべき状態だろう。実効性が出ても困るから、敢えて課税されないようにできる抜け穴を作ったというべきか。

内部留保課税は、実のところ、税収が得られても、税収が得られなくてもジレンマとなる。内部留保の取崩しを期待し、企業の投資や賃上げにつながれば、内部留保が減って税収は上がらず、施策の財源にできない。他方、内部留保が残れば、税収は上がるが、課税を契機に企業の活発な活動が起きない証で目的達せず。どちらになってもジレンマの課税である。

そもそも、わが国の企業が「内部留保」(狭義には利益準備金)を資金調達手段に多用している金融環境や企業統治を問うべきなのに、「お金を貯めこむ」という発想でみることは筋違いだ。企業は、株式、社債や融資、内部留保の資本コストを勘案しながら、(ベストか否かを別として)内部留保を資金調達手段として選んだ結果が、今日の企業のバランスシートになっている。利益準備金を増やすことまでして、企業の資産側のポートフォリオの現状が妥当なのか、そのポートフォリオで収益が高く上げられているのかを、企業統治の観点から問うことこそ、建設的な議論だろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22009620W7A001C1MM8000/

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