ドイツはなぜ消費減税できるのか
6月3日、ドイツのメルケル政権、日本の消費税に相当する付加価値税を2020年7月1日からで12月31日まで税率を引き下げること発表した。これは、2020年と2021年に実施する新たな景気対策(総額1300億ユーロ(約16兆円))の一環である。
この消費減税は、標準税率を19%から16%に引き下げ、軽減税率を7%から5%に引き下げるものである。
2005年に発足したメルケル政権は、2007年に、当時17%だった付加価値税率を19%に引き上げた。
その後、リーマンショックに端を発した世界金融危機が起きて、景気が後退した。2009年には実質経済成長率がマイナス5.6%を記録した。
それでも、メルケル政権は消費減税をしなかった。
そのメルケル政権が、今半年間の消費減税をしようとしている。それはなぜか。
その後、ドイツは2012年から8年連続で財政収支が黒字になった。そして、その黒字の7割を使って政府債務残高を減らしてしてきた。
政府債務残高の減少は、将来の増税を避ける形で将来に恩恵が及ぶ。
では、財政黒字の現世代への還元はどうするか。それが、以前から政権内で議論されていたことだった。