配管を「洗浄」する

元来このような用法はありませんでした。

この場合に用いるのは「洗滌」。そしてこれはセンデキと読みます。

「滌」には漢音のテキという読みしかなく、ジョウは旁(つくり)の類推からくる慣用音です。明治大正期では、「洗滌」をセンジョウと読むのは誤用とされていました。

一方、「洗浄」という語も古くからありましたが、これは元々仏教で心身を洗い清めるという意味で用いられたもので、洗いすすぐという意味はありませんでした。

戦後の漢字制限で「同音の漢字による書きかえ」を進める際、「洗滌」の「滌」が当用漢字表になかったことから、誤読のセンジョウを流用するかたちで、洗いすすぐという意味でも「洗浄」を使うことになったのです。

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玉城武生
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