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送り火に
誰の血もよりどりみどり 川の上老若男女送り火を見に
ついたついた、子どもが言ってよく通る高音だった だい、だい、みえた
山影に火がたつときの勢いをたっぷり右に払う大文字
点線の一つ一つがちょっとした大きさだろう 燃えるしばらく
点くまでと消えるまでとのながながめ、ひそか静かに暦は初秋
勢いが落ちたらつぶさ 火の数も人混みのなか他人の声も
客人はそこかしこにや見やるべき丘へ野面へたかる送り火
土手道の車の列は数珠として、もしくは団子 かたがた送る
これほどに集い真っ赤な火の数と同じほど待つブレーキランプ
手机挙ぐる腕に抱かれ送り火は人の背に見ゆ、かかる一叢
手机挙げる腕に抱かれた送り火を背後より見るそんな集合