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『ユージニア』恩田陸


心がざわざわする小説でした、、

感想というか考察?を書かずにはいられないので、読み終わってすぐのうちに残します。



あらすじ
地元でよく知られた名家で起きた大量毒殺事件。幼少期にこの事件を目撃していた満喜子は、大学の卒業論文で事件を取り上げる。関係者への聞き込みによって浮かび上がる事件の隠された真相とは、、?





以下ネタバレを含みます。






・プロローグ

子どもに大人が何か事情聴取をしているような様子で、話の中では色が出てきます。
青い部屋、白いさるすべり、、、
子どもが語る青い部屋からは寒々しく、暗いイメージを受け取ります。
後からわかりますが、作者はさるすべりをひらがなで表記する時と、漢字で表記する時を書き分けています。(すごい)
このプロローグの会話は後半でも重要な役割を果たします。


①海より来たるもの

事件が起きたのは白い夏。大人になった満喜子が金沢の風景を紹介しながら、事件のこと、「忘れられた祝祭」のことについて語ります。

名家で起きた大量毒殺事件。出入りの業者や近所の人を含む17人が亡くなった。うち子どもが6人。

舞台が金沢ということは、はっきりと語られませんが、行ったことのある人や、金沢のことを知っている人なら必ずわかるように描かれています。ここで、「群青の間」という青い部屋が出てきます。読者の全員がプロローグの青い部屋=群青の間だと思ったことと思います。

また事件の生き残りの青澤緋紗子が盲目の(子供時代ブランコから落ちて視力を失った)少女だとわかります。病弱な悲劇のヒロイン。

それから犯人と思われる人物は既に自殺し、事件は被疑者死亡として扱われていることもわかります。

満喜子は誰かにこれらのことを語っています。相手が誰なのか、この時点ではわかりませんでしたが、後半まで読むとわかります。

この小説は、さまざまな人物が事件や関係者について語ることで進んでいきます。

聞き手が出てくる時は、全て同じ人物です。

この章で印象に残ったのは、事件後に、女の子たちの間で流行ったつゆくさのお守りです。事件現場に残された手紙が、つゆくさを飾った一輪挿しで抑えられていたことから流行りました。些細なことですが、後半に少しだけ登場します。

②二つの川と一つの丘

満喜子の論文に協力した後輩、Kが語り手。Kにとっての満喜子はさっぱりとした落ち着いた人物。Kは満喜子に憧れていました。インタビューをする満喜子は、相手によって自分のキャラクターを変えていたようです。そんな満喜子をみて、ゾッと怖く思うこともありました。

Kが行った青澤家は、ステンドグラスの入った丸い窓がありました。玄関の近くに百日紅の木があったかどうか、白い花が咲いていたかどうかは記憶にありませんでした。満喜子の聞き取り調査にも唯一同行しなかったところであり、家を見たのは帰り際に一度だけ、と話します。

Kと満喜子の会話の中で「みんなが目にするもので、特定の誰かにだけわかるメッセージを残すにはどうするか」考えるシーンがあります。これが事件で残されていた手紙に大きく関係します。それから「忘れられた祝祭」にも。

③遠くて深い国からの使者

毒殺事件の日がマキの視点で回想されています。百日紅の読み方を知らなかった。マキは百日紅の花を見て、名前はわからないが、ちり紙の花みたいだと思った。ベットで横になっていると、庭の方から気配がする。反射的に見ると、大きな白い繭が震えていた。しばらくすると気配が消え、白杖を持った「久代」が現れました。「久代」はおばあさんの家にお菓子を取りに行くついでに、満喜子のところに寄ったのです。久代は、今日は家で相澤家のお祝いがあるが、マキちゃんには来ないでほしい、と言います。理由を聞くも、「そんな気がするから」と返されてしまいます。ここで登場するのは、母、マキの兄の誠一、順ニ、久代の弟の祐です。久代の家は「船の窓の家」と呼ばれ、三方が道路に面しています。門の近くに落ちていた赤いミニカーを拾う祐。お手伝いのキミさん。しばらくすると久代が帰ってくるが、お菓子を持っているはずなのに手ぶらでした。マキは急いで帰りましたが、途中で黒い野球帽と黄色い雨合羽を身につけた男に会います。男は「この辺りに相澤医院ってある?」と聞きました。マキが場所を伝えるとありがとうと言ってバイクで立ち去りました。

あらすじは↑なのですが、緋紗子ではなく久代、満喜子ではなくマキ、青澤家ではなく相澤家、丸窓さんではなく船の窓の家、、と変えられています。
また誠一は久代と将棋をしたことも書かれています。
2回読んでやっとわかりましたが、これは忘れられた祝祭の文章だと思います。事実が少しずつ変えられていますが、大方同じだからです。

④電話と玩具

お手伝いのキミさんの娘さんが語り手。キミさんは青澤家で働いていました。青澤家の長男は望、長女は緋紗子、末に弟。
キミさんの娘さんによると、青澤家は消毒液とはまた違うツンとする変な匂いがいつもしていました。青澤家は「丸窓さん」と近所で呼ばれていました。事件後、事情聴取に来た刑事は折り紙で「夢の通い路」という鶴を折ってくれたといいます。事件からしばらく経ってから、容疑者が死んだとニュースになった時、訪ねてきたその刑事に母は、「違うんです、違うんです」と泣きながら繰り返しました。
母はその後、事件の直前、若い女から「みなさんお元気ですか」という不思議な電話があったことを明かします。それから屋敷の床に泥だらけの赤いミニカーが落ちていたことも。
それから娘さんは、事件が犯人の自殺という形で終結した後、黄昏の中で笑顔でブランコを高く漕ぐ緋紗子を見たことを話します。


母=キミさんとははっきり書かれてませんが、キミさんの話だと思います。「違うんです」の一言がすごく気になります。それからミニカーは誰が置いたのか。張り巡らされた伏線が私たちを不安にさせます。


⑤夢の通い路

事件の捜査をする刑事さんが警察を志すまでの話。禁煙の一環で折り紙を始めたこと、46歳のときに事件に遭遇したこと、それから、緋紗子に会ったときのことが書かれています。事件のことを知らされ、凄惨な事件現場に向かうと、屋敷の中で倒れていた人がざっと14人いて、5人が救急搬送された、と聞かされます。床には赤いミニカーが落ちていました。
刑事は緋紗子に会った時、この女が犯人だと確信します。

事件現場の描写が詳しくて、読むのが辛い章でした。凄惨な描写と盲目で美しい容姿を持つ緋紗子がなんともミスマッチな印象です。

⑥見えない人間

会話形式に戻り、満喜子の兄が語り手。大人になった彼は、毒を入れられる可能性を考えてしまい、喫茶店や飲み屋の飲み物に口をつけられない、と話します。事件の日、弟と妹と3人で青澤家を訪ねたところ、ただならぬ様子に気付き、交番まで走ったのが兄でした。
兄は"見える=目立つ"人間と、それ以外の見えない人間の二種類が世の中にはいて、青澤家の人間は見える人間だったと言います。兄は緋紗子とチェスをしたこと、弟と妹マキのこと、マキが本を書いたこと、事件の日、母に「弟と妹を連れて青澤家に行ってきてほしい」と言われたこと、家族揃った最後の食事の日、マキがビーフシチューに毒草を入れたこと、などを語ります。


マキは緋紗子になりたかった。マキは他人になりきることを普段から好んでいたが、特に緋紗子自身になりたかった。緋紗子のことを理解したかった。そんなことがこの章から伺えます。
家族に毒を盛るという衝撃的な行為に、体温がスッと下がるような気味悪さを覚えました。

⑦幽霊の絵

近所に住む文房具屋の若旦那の回想です。犯人とされている青年を気にかけていました。アイロンの当ててあるシャツと灰色のスラックスを着た男性な顔立ちの男。若旦那は男を何回か目撃します。彼を知るお寺の住職との会話の中で、若旦那は、男はかつて妹を殺されていて、それをきっかけに、精神的に病んでしまったことを知ります。また、男が"第三の目"を探していたことも。次に男を見たのは知人の煙草屋に寄った時でした。子どもたちの会話から男が第三の目がある場所を見つけたと話していたことを知ります。
事件の日の朝、若旦那は、黒い野球帽と黄色い雨合羽を身につけたあの男がきびきびと歩いているのを見ます。久々に見た男は痩せていました。若旦那は後をつけることはせず、昼食を食べるために蕎麦屋に向かいます。食べ終わった若旦那が店を出ると、店の前でその男が蕎麦屋の掛け軸をじっと見ていました。男は「やっと返事ができました」と何度も呟いていました。雨合羽はもう着ておらず、表情はどこか満ち足りていました


この章では、容疑者の男が何か使命感を持って、意味のあることを成し遂げたことが伺えます。
少しずつ事件の概要が明らかになってきたような感じがします。

⑧花の声

黄色い雨合羽の男を、かつて慕っていた煙草屋の息子が語り手。兄さんと呼ばれていた、後に容疑者となる男は勉強を教えてくれました。普段はつかみどころのない人で、やはり第三の目を探していました。加えて「花の声」が聞こえるのだ、と話すことがありました。花の声の「花」は白い色をしていて満開に咲いているのだといいます。ある日、兄さんは「花の声からもらった」と、二つの住所が書かれた紙を持っていました。このことは、事件に兄さん以外の共犯者がいたことを意味していました。花の声を見かけた兄さんは読経を初め、人生に目標を見つけたかのように見えました。事件後、兄さんは寝込み、子どもたちと会うことも無くなりました。語り手と最後にあったのは秋のことでした。花の声を聞きに行くんだ、と歩いて行きました。そのあと、1週間くらいして兄さんは自宅で亡くなっているところを大家に発見されたのでした。
それから子どもだった語り手も高校生になります。夏のある日、喉が渇き、死にそうになりながら歩いていたところ、「じゃあ、死んじゃいなさいよ」という女の声が聞こえてきて、ハッとします。そばには白い百日紅と3つの丸窓の家。語り手は、兄さんはこの声を聞いたのだと悟るのでした。

花の声と丸窓の家の関係が見えてきました。声の主は緋紗子だろうと想像がつきます。

⑨幾つかの断片

緋紗子と容疑者の男の会話だと思われます。緋紗子は男に、一人になりたい、と語ります。もしくは二人でユートピアに行きたい、などと話していると子どもたちがやってきて、この男は誰なのだと緋紗子に聞きます。緋紗子は「ゆうじん」と紹介しました。
それから緋紗子が子どもたちに向けて話している様子に移ります。花火の好きな寂しいおじいさん。おじいさんの家でみんなで花火をしよう、と子どもたちを唆したのでした。

ユージニア、という言葉の由来、男と緋紗子の関係、男が事件を起こした動機、次の章で語られる古本屋が焼けた理由がなんとなくわかるようになっています。

⑩午後の古書店街にて

満喜子が忘れられた祝祭を書いた時の、担当編集が語り手。満喜子の日記には、インタビューした人が1.2....21など数字で表されています。わかるのは6が緋紗子、7がキミさん(多分)、21が刑事さんということくらいです。また編集の口から「忘れられた祝祭」が出版されたあと、不思議な電話があったことが明かされます。内容は作者は雑賀満喜子ではないか、本人と連絡が取りたい、というものでした。編集は、満喜子にあなたの連絡先をお伝えします、と言いましたが、話を逸らされます。改めて連絡先を聞くと、電話は切られてしまいました。電話口からは、潮騒の音と、電話の中年女性の声と、もう一人、若い女の声が聞こえました。
さらに編集からは満喜子が取材でよく通っていたMという古本屋が焼失したことも明かされました。なんとも、書店のうらのお年寄りの家が焼け、類焼したということでした。
それから、満喜子は随分前から緋紗子のことを疑っていて、時効の中断について調べていたそうです。

緋紗子の用意周到さ、賢さが描かれています。電話をかけた女性は誰だったんでしょうか。若い女性は緋紗子だと想像がつきますが、、、


11夢の通い路(二)

再び、刑事さんが語り手。事件の後、しばらく経ってから、刑事が忘れられた祝祭を読んだ時、作中に出てくる古本屋が全て違う建物に改竄されていることに気付きました。事件について、刑事が今一度思い出してみると、容疑者の男が、近所の子供に本を開いて勉強を教えていたのにも関わらず、自宅からは一冊も本が出てこなかったことが気になります。容疑者は自殺する前、身辺整理をしていたのではないか、その結果、本がなくなったのではないか、、、、?
おかしいところはまだ残っています。容疑者が持っていたはずの被害者宅と被害者の友人の住所が書いてあるメモ。煙草屋の息子の話だと、容疑者は「花の声」からもらったそのメモを大事そうに持っていたというのです。そんなメモだったら容疑者が捨てずに大事に持っておくはずだ、、。
そう考えると、容疑者の男が住所の書いてあるメモを本の間に挟んで仕舞い込んだまま、古本屋に売った可能性が浮かび上がります。古本屋に向かう刑事でしたが、なんと2ヶ月前にその古本屋が焼けていたことを知ります。刑事は驚いたと共に、事件がまだ継続しているのだと思うのでした。
キミさんが亡くなる少し前、松林に囲まれた小さな公園で刑事とキミさんは2人で話しました。石造りの背もたれの高いS字のベンチを緋紗子は気に入っていたそうです。背もたれの上のところはステンドグラスになっていて、赤い花の模様がありました。

12ファイルからの抜粋

満喜子が熱中症で亡くなったこと、青澤邸が取り壊しの危機にあること、緋紗子は亡くなる前に親子連れと言葉を交わしていたこと、緋紗子の上の兄(次男)も自殺したことなどが、新聞記事のような文章で書かれています。
この章の終盤では次男の遺書の内容が明かされます。
次男は事件の日、青澤家のお手伝いさんからジュースをもらいました。壜の蓋がすんなり空いたことを不思議に思った彼は、試しに猫に舐めさせてみました。すると猫は痙攣を起こし、たちまち逃げて行きました。彼はその意味を考えました。一度家に帰り、妹を呼びにいきました。その後事件が起こったのでした。

満喜子が死んでしまっていたとは思わず、衝撃を受けました。また調子が良く、社交的だった次男は、そんな後悔を抱えていたことにも驚きました。赤いミニカーを置いたのは彼なのでしょう。事件が起こる予感がして、止めなくてはいけない気持ちと混乱した気持ちの狭間で迷っていたことだと思います。


13潮騒の町

物語の聞き手が、12章で満喜子の兄「順二」が書いた遺書の宛先の女性であることがわかります。彼女は緋紗子とあの公園のベンチで対峙していました。緋紗子は思ったより普通の痩せこけた中年女性になっており、彼女はがっかりします。緋紗子の目は見えるようになっていました。緋紗子は枯れたつゆくさをむしりとり、投げ捨てます。(1章のつゆくさとの対比?)その後真相を語り出すのでした。

ベンチに一人で座っていた時、あの男と初めて会ったことを緋紗子は明かしました。ようやく容疑者と緋紗子の繋がりが判明した瞬間です。9章の会話はここで繰り広げられ、「一人になりたい」という緋紗子の願いを男は叶えてあげたいと思ったのでしょう。
緋紗子はある日、何か書き付けたいと言った男に"たまたま"キミさんが書いた、父の友人の住所が書いてある紙を渡したのだと言いました。
聞き手の女性は、緋紗子が全て仕組んだのだと悟ります。緋紗子を一人にさせるために、男は障害のある子どもを利用して、青澤家に電話をかけさせ、お年寄りの家で花火をさせたのだと、、
緋紗子と男は、二人だけの国を夢に見るようになり、その国をユージニアといつしか呼ぶようになったのでした。
緋紗子は語りながら海辺を歩いていましたが、赤い花を見つけ、「懐かしいわ!」と嬌声を上げます。おそらくその花は百日紅だと思われます。緋紗子は目が見えていた時、百日紅の花をよく目にしていました。

14紅い花、白い花

亡くなる前の満喜子の話。満喜子のしたかったことは「正しい鑑賞者」になることでした。事件当時のことを思い出しながら歩いていると、事件を調べていた婦警に会います。婦警との話を通じて満喜子は、プロローグで緋紗子が言っていた言葉の意味を悟ります。
真相は、、、読んでみてください。


ここまでで6600字を超えてしまいました。
とんでもなく書いてしまった。

次からは、私の考察を書きます。

・キミさんが違うと言った意味
キミさんは青澤家の奥様が青い部屋で何をしていたか知っていたのだと思われます。知りながら止められなかったことを後悔していたのだと思います。キミさんはいろいろと思い出すうちに、事件の犯人が緋紗子であることと、その動機に気がつき、受け止めきれないショックにさらされたのだと思います。その結果、違うんですという言葉が出てきたのだと思います。キミさんは事件で生き残りながらも深刻なダメージを受け、秘密を抱えたまま亡くなってしまいます。人生を変えられてしまって、とてもかわいそうに思いました。

・男の動機
容疑者の男は、緋紗子と出会ったことで生きる意味を見つけてしまいました。緋紗子の声を聞き、緋紗子の願いを叶えることが生き甲斐になったのです。花の声は彼にとって神からの啓示のようなものだったかもしれません。しかし、緋紗子の願いを叶える方法が道義に反していることをわかっていたため、読経に勤しんでいたのでしょう。彼を突き動かしたのは、恋愛感情なのか、緋紗子に対するある種宗教的な信仰心なのか、、、どちらも違うかもしれませんが、人は元来弱い生き物であり、一人では生きていけないものなんだなあ、と思いました。緋紗子もこの男も。

・男の目的
容疑者の男は、妹が殺されてしまった不幸を「世界から大きな問いを投げかけられた」と考えていました。また、その問いに対して返答をしなければならない、とも。男は事件を起こしたあと、返答ができたと考えていたようです。
男はさらに、第三の目を欲していました。自らを苦しみから解き放ち、違う段階から物事を眺められる第三の目。男にとって第三の目とは緋紗子のことだったのではないかと思います。緋紗子は世界を自分のものとしていた。緋紗子と接するうちに、自分の足りない1ピースを見つけたような気持ちになったのではないでしょうか。これが男の行動を支える原動力となったのだと思います。

・緋紗子は何をさせられていたのか
物語の終盤で、緋紗子は母親に青い部屋で懺悔をさせられていたことがわかります。失明した理由を求めた母親は、緋紗子が悪いことをしたからだと疑い、緋紗子をこの部屋に入れていたようです。わからなかったのは、具体的に何をさせられたのか、です。緋紗子が一人になりたかった理由と深く関わっていそうな出来事ですが、何があったのかはわかりません。懺悔をさせられていたのか、さらに罰を与えられていたのか、、というか、そもそも幼い緋紗子は何を懺悔していたのか。

・匂い
キミさんの娘が感じていた青澤家の匂いですが、百合の匂いかな、と思いました。百合は香りが強い気がするので、部屋の中で香っていてもおかしくないなと思いました。

・花
考察でも何でもないのですが、この作品には花がたくさん出てきます。百日紅、つゆくさ、百合、、、など。気になるので、花言葉をまとめておきます。
百日紅…雄弁、不用意、あなたを信じる
つゆくさ…尊敬、小夜曲
白百合…純潔、威厳
青い部屋に純潔を表す白百合はぴったりですね。キリスト教でも白い百合は意味を持つそうです。

・満喜子の後悔
満喜子は緋紗子になりたいと望み、緋紗子の全てを知りたがっていました。14章で婦人警官に会った満喜子は事件の後の緋紗子の発言を聞かされ、ひどくショックを受けます。満喜子は緋紗子が残したメモが誰宛てのものか、わからなかったのです。緋紗子に自分の知らない一面があったことに満喜子はショックを受けたのです。

・緋紗子
事件は緋紗子によって起こされたようですが、直接的に緋紗子が何か指示するようなことはあまりなかったのではないか、と思います。単に、緋紗子の望むことを叶えてやりたいと思った男が起こした、というだけな気がします。しかし緋紗子は何が起こるのかを全てわかっていた。緋紗子の罪は何が起こるか知っていて、何もしなかったことなのだと思います。ここがミニカーを置いた順二とは異なる点です。


◎わからなかったこと
・緋紗子に百日紅がひゃくにちこうと読むのだ、と誤って教えた人物。
・赤いミニカーを置いた人物。(やっぱり順二?)
・懺悔の内容
・蝙蝠の気配という言葉の由来
・満喜子が死の直前に会った親子連れ


もし分かる方がいらっしゃったら、教えてください!

読後、夏だと言うのに鳥肌が止まらなくなるほど怖かったです。
人怖系が好きな方、是非読んでみてほしいです!
章によって語り手が違うのが斬新でした!「私の家では何も起こらない」に少し似ていました!

ではいいかげん長いのでこの辺で!

読んでくださった方、ありがとうございます😂

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追記

他の人の解釈が気になって、調べてみたのですが、黒幕は緋紗子のお母さんだ、という説を唱えてる人がいました!

私も確かにその可能性あるな!と思ったので、お母さんと緋紗子の話で違和感を感じた部分を思い起こしてみます。

・緋紗子の発言は母に全て聞かれている
・緋紗子の目が見えるようになるには、周りの人が代償を払わなければならない(ここは満喜子の想像)

こんな感じです。
また、緋紗子単独で計画したにしては、あまりに用意周到すぎるのかも、、とも思いました。
例えば、偶然を装って住所の書いてあるメモを容疑者の男に渡したこととか、、。

あと、蝙蝠の気配についてですが、お母さんは着物を着ていたと書かれています。着物の袖がなんとなく蝙蝠を彷彿とさせなくもないかも、、、、これは無理矢理感ありますが笑

それから、百日紅をひゃくにちこうと教えたのも母親なのかなぁ、、と思っています。
一字一句緋紗子の声を聞いているお母さんならば、どこかのタイミングで緋紗子の間違いに気づけたと思うからです。

読む度に違う発見がありそうなこの作品。
一冊で二度も三度も楽しめますので、是非読んでみてください!
そしてみなさんの予想を教えてもらえたらうれしいです!

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