雨だって梅雨だって
ずっと雨は嫌いだった。
じめじめするし、
蒸し暑いし、
洗濯物は生乾きだし、
靴は濡れるし、
出歩く時は荷物も増えるし、
寒いし。
───いい事なんてひとつも無いと思ってた。
得することなんてひとつも。
けれども、
この間、霧雨の中を歩いていた帰り道見つけた。
近所の民家の畑からはみ出している、
名前は知らない植物が、
細やかな雨粒を載せて、
薄い雲から滲み出た陽光を受けて、
鮮やかな黄緑色を抱えていたのを。
・・・生まれて初めて知った。
こんなにも綺麗な''緑''を
あんなにも輝かしい自然の息吹を
自分が『雨』の何も知らなかった事を
葉の上の細かい雨粒が陽光を照り返してより鮮やかにetc...etc......
きっとそう見えた理由は色々と理屈や説明で丸め込められるかもしれない。
でも、
確かに私は、加工アプリのフィルター無しに
生き生きとした''色''を肉眼で見られたことに
とても感動したんだ。
街の喧騒、
下卑た人間達の汚らしい呼吸、
都市から出る成分も分からない煙、
くだらない人間関係のストレス、
ネガティブな感情などによって
霞んでいただけかもしれない。
けれど私はその時、
雨粒を受けて輝く緑を見た。
それだけは確かだと信じるし、
小さい事だけど誇らしく思う。
じめじめするし、
蒸し暑いし、
洗濯物は生乾きだし、
靴は濡れるし、
出歩く時は荷物も増えるしで、
雨は嫌いだけれど、
雨によってもたらされた新たな視点は
この上なく大好きだ。
※実際に撮った加工無しの写真を載せています。