怪しき青き光の彼女とサグチキンカレー
秋の午後、僕はいつものように職場の地下にあるインドカレー屋に足を運んだ。すぐに青白い照明が目に飛び込んできた。 まるで水底にいるような、幻想的な少し不安になるような青だ。それ以来、店内は異国の街角のような、少し現実感の薄い雰囲気を漂わせている。
私はカウンターの隅に座り、サグチキンカレーを注文した。ほうれん草とチキンの組み合わせ。 濃い緑色のソースに鶏肉が沈んでいる姿がいつも僕の食欲をそそる。 カレーが出てくるまで、僕は青い照明を眺めながらぼんやりと思考を巡らせていた。 なぜ青なのだろう。 インドのカレーと青色はなんとなく気になる。 インドといえば、温かみのある赤や黄色が先に見える。 でも、思い返せばインドの神様には青い肌を持つ者がいる。ヴィシュヌやクリシュナだ。 彼らの肌は不思議なほどの青色で、空や海よりも深く、どこか現実離れた美しさがある。
そう考えていると、僕の頭の中に青い肌の女性が現れた。彼女はインドの神々のように美しく、サリーを纏い、青い光に照らされながらカレーを口に運んでいる。それは何か、神聖な場面をしているようにも見えた。 カレーのスパイスが香る中、彼女の青い肌はさらに鮮やかに輝き、異国の神秘を纏った存在感を放っている。その幻想に一人耽り、現実と夢の境界が解放になる感覚を楽しんでいた。
店員がサグチキンカレーをテーブルにした時、ふと我に戻った。 スプーンを手に取り、カレーを一口口に運ぶ。口の中に広がるスパイスの香りが、僕を再び現実に引き戻す。ほうれん草の濃厚な風味と、じんわりとした辛さが体を温め、青い照明が照らす中でその温かさは確かに感じられたのだ。
カレーを食べながら、僕は再び青い女性のことを考えた。 彼女はどこかでこの青い光の中で、僕が注文したのと同じサグチキンカレーを食べているのだろうか。そんなことを考えていると、青い照明の下でカレー食べている自分自身が、青き肌の彼女の傍に存在しているような、そんな気がした。
秋なのに気温はそこそこ高く、外に出たらきっと汗が噴き出すだろう。でもこの青い空間の中では、すべてが少し幻想のようで、なぜか現実感が遠のいているような、そんな感じがするランチタイムだ。