「ターミナル」を観て、イッテQの出川哲朗さんを思い出した
トム・ハンクス主演の映画「ターミナル」を久しぶりに観ました。
僕がこの作品にはじめて出会ったのは、かれこれ8年くらい前だったと思います。
当時は「アポロ13」や「キャストアウェイ」「ダ・ヴィンチ・コード」など、トム・ハンクス作品を観まくっていた時期でした。
空港の窓の外に広がるニューヨークの景色を、悲しげな表情で見つめるトム・ハンクスのジャケット写真が、とても印象的だったのを覚えています。
そして今回、およそ8年ぶりに本作品を視聴したのですが、「ターミナルの主人公って『イッテQ』の出川哲朗さんに似てるよね?」と思ってしまいました。
本作品は、「クラコウジア」という国からニューヨークへやってきた主人公ビクター・ナボルスキーが、9ヶ月にもわたって空港内に閉じ込められてしまうという、普通ではありえないような設定の物語です。
なぜ空港から出ることができなかったかというと、彼の母国でクーデターが発生し、パスポートやビザが無効になってしまったからです。
ニューヨークの地に足を踏み入れることも母国に帰ることもできなくなった彼が、唯一滞在を許されたのが空港の乗り継ぎロビーでした。
ナボルスキーは、なんと9ヶ月もの間、この乗り継ぎロビーで「生活」することになります。
「空港で生活する」と聞くと、どう考えてもありえない設定に思えるのですが、実はモデルになった人物がいたそうです。
メヘラン・カリミ・ナセリさんというイラン人の方で、彼はフランスのシャルル・ド・ゴール空港の待合室で、なんと18年も暮らしたんだとか。
彼の場合は「パスポートや航空券を盗まれてしまった」のが理由だそうですが、よくもまあ追い出されなかったものだなと思います。
「ターミナル」の主人公ナボルスキーに話を戻します。
彼がなぜ9ヶ月ものあいだ外国の空港で生き延びることができたのかと言うと、理由のひとつに「頭の良さ」があると思っています。
ナボルスキーは陽気で親切な外国人である前に、とても「頭が切れる人」なのです。
たとえば、英語のマスター方法がよい例です。
彼は入国時、ほんの少しの英単語しか知らず、日常会話すらまともにすることができませんでした。
言われたことに対して「オーケー」「クラコウジア!」と英単語を繰り返すだけで、話がまったく噛み合いません。
しかし、英語の必要性に迫られた彼は、英語版と母国語版の「ニューヨーク案内本」を1冊ずつ手に入れ、それぞれを見比べることで英語をマスターしてしまったのです。
学習方法がユニークであるという点もさることながら、たった数ヶ月という短い期間でコミュニケーションに困らないレベルの英語を習得できたのは、やはり彼の「地頭の良さ」が要因ではないでしょうか。
また、物怖じしない性格や忍耐力も、ナボルスキーにとってプラスに働いたと思います。
片言の英語しか喋れないにもかかわらず、機内食担当のエンリケに頼まれて入国係官ドロレスを「口説き」に行ったり、お金を稼ぐために空港内のあらゆるショップに自分を雇うよう売り込んだりするなど、彼にはまったく気後れする様子がありません。
このように強いメンタルを持っている彼だからこそ、9ヶ月もの長いあいだ生き延びることができ、やがて皆から慕われて空港の「ヒーロー」になることができたのだと思います。
ナボルスキーの物怖じしない様子は、まるで僕が大好きなテレビ番組「世界の果てまでイッテQ!」の出川哲朗さんのようです。
同番組内に「はじめてのおつかい」というコーナーがあるのですが、出川さんは何のためらいもなく外国人に話しかけるのです。
もちろん、出川さんが英語を話せるわけでも、スマホの翻訳機能を使ったり通訳さんが近くにいたりするわけでもありません。
出川さんが使うのは、知っている単語を組み合わせたデタラメな英語と、ボディランゲージだけです。
それでも、ほぼ毎回と言っていいほど正解の目的地にたどり着くのですから、驚きと尊敬しかありません。
出川さんがナボルスキーと同じように英語をマスターできるかどうかはわかりませんが、おそらく彼のコミュ力やメンタルの強さがあれば、たとえクーデターで空港から出られなくなったとしても、きっと問題なく生活できるだろうと考えてしまうのは、僕だけでしょうか?