映画「グリーンブック」は、勇気を出して「相手を知る」ことの大切さを教えてくれた
はじめまして。
フリーのライター兼ブロガーとして活動している、「たけなかしんご」と申します。
本日から、こちらで映画の感想を書かせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
最初の感想は、2019年にアカデミー賞を受賞している「グリーンブック」という作品です。
露骨に描かれる人種差別
はじめに言っておくと、この映画では露骨な「黒人差別」が描かれます。
ちなみに僕自身は、おそらく日本に住んでいる多くの人たちと同様に、あらゆる人種差別について「良くないことだ」と考えている人間です。
というより、僕の場合は他民族の人たちと関わる機会がほとんどないので、「人種差別とは無縁」と言ったほうが正しいのかもしれません。
だから、この手のニュースを見ても、「なぜそんなことをするんだろう?」と実感がわかないのが、恥ずかしながら僕の現状です。
その一方で、街中で黒人の人を見かけると、「怖そう…」と思う自分がいます。
「人種差別は良くないことだ」と頭では理解しつつも、僕の心のどこかでは黒人の人に対する「偏見」があるのです。
たしかに、僕には子どものころから他人を色眼鏡で見る癖があって、無意識に他人を避けてしまうことがよくあります。
しかし、この映画を観終わったとき、自分の中で学びがありました。
それは、偏見とは相手に対する「不理解」が原因で、それを取り払うには勇気を出して「相手を知ること」が大切だということです。
心温まる映画を求めて
僕が「グリーンブック」を観ようと思ったきっかけは、2つあります。
第一に、「心が温まる、ほっこりとした気分にさせてくれる映画を観たい」と思い検索したところ、「グリーンブック」をおすすめするサイトが多かったこと。
なにかと仕事や日常生活で落ち込むことが多く、そんな自分を癒やしてくれる映画が観たかったのです。
第二に、本作品はアカデミー賞を受賞していて、「だったら『ハズレ』はないだろう」という安直な考えがあったからです。
なお本作品は、2019年の第91回アカデミー賞において、作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ/ドン・シャーリー役)、脚本賞の3部門を受賞していて、多くの人から「名作」と評価されているようです。
しかし、いざ鑑賞をはじめてみると、僕が想像していた「心が温まる映画像」とは少し違いました。
作中では黒人に対する差別がいくつも描写されており、平たく言えば「嫌な気分」になることが多かったからです。
とはいえ、「肌の色も性格も真逆の2人」が、旅を通じて少しずつ理解しあう様子を見て、心がとても温かくなると同時に、「自分も他人を知るように努力しなければ」という気付きを与えてくれました。
人種も性格も正反対の2人が行く、アメリカ南部への旅
映画「グリーンブック」は、人種も性格も正反対という2人の男性が一台のキャデラックに乗り込み、アメリカ南部へと旅に出かける物語です。
物語の主人公であるトニーは、イタリア系の白人男性。
教養がなくて言葉づかいも粗く、相手が傷つくことも平気で口に出してしまう粗野な性格の持ち主です。
腕っぷしが強く、勤めていたショーパブでは、客どうしの揉めごとなどを解決する「用心棒」として重宝されていた存在です。
そして、定職につこうとしない彼は、日銭を稼ぎつつ家族とともにギリギリの生活を送っていました。
一方のシャーリーは、ジャマイカにルーツがある黒人男性です。
彼は有名なクラシックピアノの演奏家で、教養に溢れ、凛とした佇まいで洗練された言葉を使います。
また「暴力ではなく対話で解決すべき」と考える、平和主義者でもありました。
ピアニストとして成功していたシャーリーは、ニューヨークにある「カーネギーホール」の上に建つ高級マンションに暮らし、豪華な調度品や置物に囲まれて生活をするお金持ちです。
なぜ、このように正反対の2人が一緒に旅へ出かけることになったかというと、「ディープサウス」と呼ばれるアメリカ最南部で、シャーリーによるコンサートツアーが行われる予定があったからです。
「ディープサウス」は当時、黒人に対する差別や暴力などが横行しており、黒人であるシャーリーには自分を守ってくれる「用心棒」が必要だったのです。
そこでシャーリーは、トニーの評判を聞きつけ、運転手兼用心棒として彼を雇いました。
性格の違いによって、度々ぶつかり合う2人ですが、行く先々で起こるトラブルを経て、徐々にお互いを理解しはじめます。
シャーリーを「黒人」ではなく「友人」と捉え始めるトニー
僕が本作品の見どころだと思っているのは、人種も性格も違う2人が、長旅を通じてお互いを理解し、友情を育んでいく点です。
中でも特に印象深かったのは、トニーがシャーリーのことを「黒人」ではなく「友人」と捉え始めたことです。
トニーはもともと黒人差別をしていた人間で、黒人に対してとても大きな「偏見」を持っていました。
しかし、トニーは8週間という長旅の中で、心にこびりついた「偏見」を自らの手で取り払ったのです。
トニーのこの行動は、とても勇気が必要なことなのだと思いました。
偏見を取り払うには、勇気を出して相手を知ること
もし僕がトニーでも、彼と同じように「偏見」を取り払うことはできなかったかもしれません。
「偏見」を取り払うには相手のことを知ることが必要不可欠ですが、コミュニケーション以前に「嫌われたらどうしよう」「この人なんか怖そう」と考えてしまう豆腐メンタルの僕には、今のところそんな勇気はないからです。
ましてや、言葉も文化も違う民族の人とコミュニケーションを取るなんて…考えただけで心臓がバクバク鳴ってしまいます。
でも、このまま他人を偏った目で見てしまう癖を持ち続けてしまうのは、僕にとっても相手にとっても、良いことがないのは間違いありません。
ですので、これからは勇気を出して、少しずつでも相手のことを知る努力を続けたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。